補助金50万ユーロ超を投入した映画、完成のめど立たず
グリーナウェイ監督はすでに離脱、出演者・スタッフへの未払いも発覚
オスカー俳優のダスティン・ホフマンとヘレン・ハントが出演し、世界的に知られるオランダ人監督ピーター・グリーナウェイが指揮を執る——。イタリアの古都ルッカの豪奢なパラッツォを舞台にした映画「Lucca Mortis」は、そうそうたる顔ぶれをそろえた意欲作として注目を集めた。オランダ映画基金はオランダ人スタッフ・クリエイターの参加を支援するため、50万ユーロを超える補助金をこのプロジェクトに投じた。ところが撮影から3年が経過した今、映画は完成どころか存続さえ危ぶまれる状況に陥っている。
未払い、停止、そして監督の離脱
NieuwsuurのレポーターFleur Damenが、NRCと共同で実態を調査・再構成した。明らかになったのは、プロジェクトの深刻な機能不全だ。撮影現場では出演者やスタッフへの報酬が支払われず、複数の撮影日が中止に追い込まれた。撮影が終わった後も状況は改善されず、後処理(ポストプロダクション)作業は請求書の未払いを理由に完全に停止している。さらに深刻なのは、この映画の顔でもあったグリーナウェイ監督がすでにプロジェクトから手を引いていることだ。監督不在のまま、映画は宙に浮いたままの状態にある。
監督機関の「知らなかった」が問うもの
こうした事態を受けて、補助金を拠出したオランダ映画基金の姿勢にも疑問の目が向けられている。基金側は現在の状況について「把握していない」としながらも、「いずれ映画は公開されると信じている」という立場を変えていない。公的資金の管理・監督責任という観点からすれば、この説明は物足りないと感じる関係者も少なくないだろう。国際的なスター俳優と著名監督を抱えながら、資金管理と進捗確認のプロセスに構造的な問題があった可能性が浮かび上がる。
オランダ在住の日本人を含む納税者にとって、この一件は他人事ではない。オランダでは映画・文化産業に対する公的補助が制度として根付いており、優れた作品を生む原動力にもなってきた。しかし今回の「Lucca Mortis」の事例は、国際共同制作における補助金管理の難しさと、制度の透明性・説明責任をどう担保するかという課題を改めて浮き彫りにした。文化政策の恩恵を享受する社会の一員として、この問いに無関心でいることはできない。
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情報源: NOS Algemeen
