猛毒キノコ「死の天使」、ソーストで絶滅危惧種が姿を現す
食用キノコと見間違えるほどの外観、誤食すれば肝臓・腎臓に永続的ダメージも
ユトレヒト州の郊外に位置するソーストで、「死の天使」の異名を持つ猛毒キノコ・Amanita virosa(ドクツルタケ)が発見された。この地域では事実上絶滅したとみられていた絶滅危惧種であり、菌学者のロブ・クリスペインがデ・パルツ邸宅地での探索ツアー中に2本を見つけた。クリスペインはRTV Utrechtの取材に「飛び上がって喜んだ」と語っており、その希少性が菌学の世界でいかに際立っているかがうかがえる。
「悪魔の毒」を宿す純白のキノコ
ドクツルタケは菌学者の間で「悪名高い」種とされており、その危険性は見た目の無害さと表裏一体だ。純白で小ぶりな外観は、スーパーマーケットでも売られている一般的な食用マッシュルームと非常によく似ている。しかし、その中身は全くの別物だ。摂取してもすぐには症状が出ないため、発見が遅れることも多い。クリスペインによれば、まず重篤な胃腸障害や吐き気が現れ、摂取から約2日後に肝臓と腎臓が侵され、その損傷は永続的となる可能性があるという。適切な処置を受けられなければ、命に直結する危険もある。
窒素危機が招いた希少種の衰退
かつてはオランダ各地で見られたドクツルタケだが、近年は個体数が激減している。その主因として指摘されているのが、土壌の酸性化だ。これはオランダ社会でも長らく議論されてきた窒素危機と密接に関連しており、農業や畜産から排出される過剰な窒素が土壌環境を変化させ、特定の菌類が生育しにくい条件を作り出している。今回の発見は、その悪化した環境のなかで生き延びた貴重な記録ともいえる。発見された2本のうち1本は研究目的で採取され、もう1本はそのまま土中に残されている。クリスペインは、一般の人が不用意に食べるとは思っていないと述べているが、野生のキノコ採取には慎重さが求められることを改めて示す事例となった。
在蘭日本人への注意点
オランダでは秋になると公園や森でキノコ採りを楽しむ文化がある。しかし今回の事例が示すように、食用キノコと有毒キノコを外見だけで判別するのは専門家でも難しい場合がある。特に白くて小ぶりなキノコは、ドクツルタケを含む複数の有毒種と混同しやすい。野生のキノコを採取・食用する際は、菌学の専門知識を持つ人物の同行か、信頼できる鑑定を経ることを強くすすめる。自然の中での発見を楽しみながらも、安全への配慮を忘れずにいたい。
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情報源: DutchNews


