スポーツクラブで同性愛への寛容度が急低下——オランダで進む「逆行」
ムリエール研究所調査、20年間で許容率85%→66%に
同性愛に対して欧州でも比較的寛容とされてきたオランダで、スポーツの現場における意識の「逆行」が数字として示された。ムリエール研究所が実施した意識調査によると、スポーツクラブの仲間が同性愛者であることを問題ないと答えた会員の割合は、2008年の85%から2025年時点で66%へと大幅に低下した。約20年間でおよそ20ポイントの下落は、単なる誤差では片付けられない社会的変化を示している。
シャワー室から見えるリアルな意識差
数字が浮き彫りにするのは、抽象的な「許容」だけではない。同性の同性愛者とシャワーを共にすることへの抵抗感についても変化が生じており、「問題ない」と答えた割合は2008年の73%から55%へと低下している。スポーツの場において、更衣室やシャワー室は選手同士が最も距離の近い空間だ。そこで感じる居心地の悪さは、試合や練習への参加意欲、ひいてはクラブへの帰属感に直結しうる。ムリエール研究所はこの傾向が社会全体のトレンドを反映していると分析しており、スポーツに限った特殊な現象ではないことを示唆している。
若い世代にも広がる「許容度低下」
懸念を深めるのは、この傾向が将来を担う若年層にも見られる点だ。学校での調査によれば、12〜16歳の男子のうち同性愛に肯定的な見方をする割合は、2021年の40%からわずか数年で22%にまで落ち込んだ。かつてオランダの若者は性的少数者への受容度が高いとされてきただけに、この急落は研究者や支援団体に衝撃を与えている。
オランダオリンピック委員会NOC*NSFは調査結果を「非常に残念」と表明し、スポーツ環境をより包摂的にするための取り組みを強化する姿勢を示した。一方、スポーツにおけるLGBTの権利向上を訴えるジョン・ブランケンスタイン財団は、現場で異変を感じてきたという。2008年に団体を設立したカリン・ブランケンスタイン氏はオランダの公共放送NОSに対し、「ワークショップへの参加意欲が落ち、反対意見を唱える保護者も増えている」と語った。さらに「トランスジェンダー選手をめぐるトップスポーツでの議論に人々が敏感になっているのは理解できるが、ここで問題にしているのはアマチュアスポーツの話だ」と強調した。
在蘭日本人にとっても無縁ではない問題
地域のスポーツクラブやサッカーチームに子どもを通わせている在蘭日本人の親にとっても、この調査結果は他人事ではない。オランダ社会の「進歩的」なイメージが必ずしも現状と一致しないことは、移住者が肌感覚を得る上でも重要な認識だ。学校やクラブでの人間関係、特に子どもたちが直面する可能性のある雰囲気の変化については、引き続き注視していく必要があるだろう。NOC*NSFが掲げる包摂的スポーツ環境への取り組みが実際にどう機能していくのか、今後の動向が問われている。
広告掲載にご興味のある方は こちら
情報源: DutchNews


