混雑する自転車道、どの乗り物がどのルールで走れるのか
ファットバイクからeステップまで、知っておくべき速度・免許・保険の規定
オランダの自転車道といえば、かつては自転車専用の静かな空間だった。しかし今日、その道を走るのは人力自転車だけではない。ファットバイク、スピードペデレック、スクーター、電動キックボード——次々と新たな乗り物が参入し、自転車道はいつしか複雑なルールが交錯する場所へと変わった。どの乗り物がどのルールのもとで走れるのか、改めて整理しておきたい。
ヘルメットも免許も不要な乗り物たち
最も規制が緩やかなのが、ファットバイクと通常の電動自転車だ。現時点でどちらも免許・保険・ヘルメットの義務がなく、年齢制限もない。ただし最高速度は25km/hと定められている。ファットバイクは改造によってこの制限を超えるものも多く、30km/h制限の市街地で自動車を追い抜く場面も珍しくないと報告されている。なお18歳未満へのヘルメット義務化が検討中だ。カーゴバイク(moedermobiel)も同じルールに従うが、小さな子どもを乗せた大型車体が小学校前などで渋滞を引き起こすことも多い。
一方、スピードペデレックは電動自転車でありながら法的には「オートバイ」に分類される。自転車道では最高25km/hに制限されるが、車両としての最高速度は45km/hに達する。そのためヘルメット着用・運転免許・保険の取得が義務付けられている。同様に、エンジン付きのスノルフィーツ(原付型スクーター)も最高25km/hで自転車道を走行できるが、こちらも免許・保険・ヘルメットが必要だ。数年前にすべての原付へのヘルメット義務化が導入されると、「どうせかぶるならバイクか、免許不要のファットバイクで」という流れが生まれ、スノルフィーツの人気は急落したという。
新顔のeステップと注意が必要な乗り物
電動キックボード(eステップ)はヨーロッパ各地の都市で普及が進んでおり、オランダでも2025年7月1日から公式に認可された車両に限り、自転車道の走行が認められた。利用できるのは16歳以上、最高速度は25km/hで、賠償責任保険への加入とナンバープレートの取付が義務となっている。ヘルメットは現時点では不要だが、義務化の議論は続いており、今後の動向が注目される。
対照的に、電動車いすのスクートモビールは規制面での「抜け穴」がある乗り物だ。免許も試験も不要で、歩道・自転車道・一般道・商業施設とほぼどこでも走行できる。しかしオランダ統計局(CBS)のデータによれば、スクートモビール利用者の交通死亡率はバイク乗りの6倍以上、自転車乗りの20倍以上にのぼる。交通ルールを学ぶ機会がないままに公道へ出ることの危険性を、この数字は示している。また、障害者向けの移動補助装置として分類されるカンタ(Canta)も同様の扱いで、免許不要・駐車制限なしという特例的な位置づけが続いている。
在蘭日本人への実際的な影響
日常的に自転車道を利用する在蘭日本人にとって、この複雑なルールの把握は安全面でも法的な観点からも欠かせない。電動自転車やファットバイクを購入・利用する際はルールの緩やかさを過信せず、eステップを使う場合は保険加入とナンバープレートの確認を忘れないようにしたい。またオランダ政府は若年層へのヘルメット義務化など、自転車道に関するルール見直しを継続的に検討しており、今後も制度変更が予想される。日々変化するルールを定期的に確認することが、安全な自転車道利用の第一歩となる。
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情報源: DutchNews


