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テッセル島漂着の遺体、人身売買組織の犠牲者と特定されるまで
社会 読了 2分

テッセル島漂着の遺体、人身売買組織の犠牲者と特定されるまで

NHとZemblaの調査で浮かぶ、英仏海峡を渡れなかった2人のアフガン人

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2023年10月6日、北海に浮かぶテッセル島のビーチに、靴に入ったままの足と下半身の一部が打ち上げられた。遺体の身元は長らく不明のままだったが、今夏、DNAの照合によってようやく判明した。20歳のサミウッラーと27歳のアフマド・ジャン——英国を目指したアフガニスタン人難民の2人だった。NHとZemblaの共同調査が、この漂着事件の背後に広がる人身売買ネットワークの実態を明らかにした。

カレー沖で何が起きたか

2人が乗り込んだのは、2023年8月12日の夜のことだ。カレー近郊の海岸から、66人の仲間とともにゴムボートに乗り出した。目的地は英国だったが、ボートは外洋への航行に耐えられる代物ではなかった。沖に出るとエンジンが故障し、その後爆発が起きてボートが破損・沈没。乗員70人のうち60人は生き残ったが、8人が命を落とした。サミウッラーとアフマド・ジャンは行方不明となり、遺体の一部が2か月後にテッセル島へ漂着した。

身元特定には2年半を要した。警察の捜査官フェッツェ・フェネマが赤十字と連携し、アフガニスタンで遺族を探し出してDNA鑑定を実施。今年の夏、ようやく2人の名前が確認された。

オランダが「拠点」として機能していた

この海難事故を機に、フランス当局は背後にある人身売買ネットワークの捜査に着手した。浮かび上がったのが首謀者のイドリス・ガジ・カリームだ。彼は英仏海峡を越える密航に必要なボートや資材を手配していた人物で、昨年末にパリで懲役15年の判決を受けた。裁判所によれば、収監中も密航の手配を続け、年間数十万ユーロを稼いでいたとされる。

さらに捜査では、カリームとオランダとの繋がりも明らかになった。警察の盗聴記録には、「叔父がオランダにいて、すべてのボートを管理している」という彼自身の発言が残っている。オランダ王立憲兵隊(マレショッセ)は、こうした密売組織のリーダーが同国に拠点を置くことは珍しくないと説明する。「ゴムボートをはじめとする航行資材の輸入・中継・保管がオランダで行われ、フランス沿岸に運ばれて密航に使われている」と同隊は述べている。

「人の命よりカネ」——検察が問う刑事責任

盗聴音声を分析したオランダ検察によれば、業者たちは販売する資材が外洋航行に適していないことを自覚していたという。検察官のペトラ・フックストラは「それが私たちにとって加重事由だ。彼らはカネが人命に勝ると考えている。つまり、人々を意図的に『浮かぶ棺桶』に乗せているということだ」と語る。

テッセル島に打ち上げられた遺体の一部は、英国という目的地のはるか手前で命を落とした若者たちの痕跡だ。欠陥品のボートを売り捌く業者、オランダで資材を管理する仲介者、フランス沿岸から難民を送り出す組織——この多層的な犯罪構造が、今も英仏海峡に命の危機をもたらし続けている。在蘭日本人も暮らすオランダが、そのサプライチェーンの一端を担っていたという事実は、この問題を遠い出来事として片付けられないことを示している。

情報源: NOS Algemeen

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