「狼を家に招くな」――オランダの狼政策にイタリア専門家が提言
政府依頼の「セカンドオピニオン」報告書、今秋提出へ
オランダ政府が狼管理政策の科学的根拠を強化しようと、イタリアの野生生態学者に異例の「セカンドオピニオン」を求めている。サッサリ大学教授で動物学・野生生物管理を専門とするマルコ・アポロニオ氏(67)がその人物だ。約200本の査読論文を持ち、イタリアにおける狼の個体数調査から市民の受容過程まで幅広く研究してきた。農業・自然省のシルフィオ・エルケンス国務次官は、同氏の報告書が**「今秋中」**に提出される見込みだと述べている。
もともとヴァーヘニンゲン大学・研究センターが昨年公表した報告書があったが、前任の国務次官ジャン・ルメニー氏(農民市民運動党)が「生態学的な視点からパズルの一ピースしか見ていない」として「使えない」と断じたことが今回の依頼につながった。アポロニオ氏はヴァーヘニンゲン報告書との比較分析を行う予定だが、内容は提出まで非公開とされている。
「問題狼」と「通過する若い狼」を区別せよ
アポロニオ氏が繰り返し強調するのは、すべての狼を一律に危険視しないことの重要性だ。集落に繰り返し現れたり、人間の食べ物を目当てに行動するようになった「問題狼」は、発見次第、即座に排除すべきだと言い切る。一方で、新たなテリトリーを求めて移動中の若い狼が集落の近くを通過するのは「避けられない」とも話す。「イタリアには8,000を超える自治体があり、狼は必然的に人間の生活圏をかすめて移動する。それ自体は問題ではない」。
問題狼が生まれる背景には、人間側の行動がある。アポロニオ氏は北イタリアで実際に発生した事例を紹介した。ヴェネツィア近郊の村でバーベキュー場の残飯を常食するようになった若い雌狼が、次第に人間への警戒心を失い危険な存在になったケースだ。同氏のチームが捕獲に乗り出したが、あまりにも人慣れしていたため、「食べ物を投げて、麻酔矢を打つだけだった」という。
農家は「狼がいる前提」で経営を見直す時代
農業被害についても、アポロニオ氏は悲観論を取らない。「イタリアの農家が今まず認識すべきことは、どこにでも狼がいる可能性があるということだ」と断言する。祖父の代から変わらぬ管理方法を続けようとする農家は多いが、「もう同じ世界ではない」と一刀両断する。適切な予防策——電気柵や牧羊犬の活用など——を導入すれば、家畜被害を最大10分の1にまで減らすことができると述べ、共存は十分に持続可能だという立場を示した。
自身もトスカーナの農村に暮らし、自宅のブドウ畑の100メートル先でキツネを仕留める狼を目撃したことがある。生ごみは自分で収集場所まで持参し、狼を庭に引き寄せない工夫をしているという。「狼と共存することは、生活を少し変えるということだ。それは不可能なことではない」と話し、過剰反応も過小評価もしないバランス感覚を求めた。
オランダでは農家と自然保護派の間で狼をめぐる議論が続いており、政策の方向性は依然として定まっていない。アポロニオ氏の報告書が今秋提出された後、政府がどのような政策判断を下すかが注目される。在蘭日本人にとっても、農村部でのハイキングやアウトドア活動の際に狼と遭遇する可能性はゼロではなく、「何をすべきで、何を避けるべきか」を知っておくことは無駄ではないだろう。
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情報源: NRC




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