家庭内暴力の通報窓口が悲鳴「もう限界だ」――平均2カ月待ちの深刻な現実
通報件数13万6,000件、法定5日以内の対応が半数以上で未達
オランダで家庭内暴力や児童虐待の通報・相談を一手に受ける公的機関「フェイリッハ・トゥイス(Veilig Thuis)」が、初めて公式に「もう対応しきれない」と声を上げた。これまで外部の監察機関や弁護士から批判を受けてきた組織が、自ら警鐘を鳴らした意味は重い。背景には、通報件数の増加、ケースの複雑化、そして医療・福祉全体にわたる人手不足という三重苦がある。
法律が守られない現実
フェイリッハ・トゥイスは、家庭内暴力や児童虐待の疑いがある案件に対し、相談対応と実態調査を行う「入り口」の役割を担う。昨年の通報件数は13万6,000件に上り、そのうち約9万件は同機関がまだ関与していない家庭からの新規の通報だった。法律は通報から5日以内の初動対応を義務づけているが、ここ数年はおおむね半数以上の案件でこの期限が守られていない状況が続いている。
全国ネットワークの理事を務めるイダ・アウエネールは「現在の平均待機時間は約2カ月で、半年以上に及ぶケースもある」と語る。ゼーランド地域のスタッフ、コリンダ・ヒュルヤムは「年初には待機リストに30件ほどが並んでいたが、今は400件近くになった。毎朝パソコンを開くたびにその数が増えている」と現場の実態を明かした。
「危険信号を見落とすリスクがある」
こうした待機の長期化が招く最悪の事態として、記事は北部フローニンゲン州スタッドスカナールで発生した事件に触れている。フェイリッハ・トゥイスへの通報があったにもかかわらず、6歳の女児が深刻な虐待を受け続けたとされる事案だ。アウエネールは「すべての危険信号を適時に対応できると保証できない」と明言し、これが「大きな懸念材料だ」と訴えた。
問題はフェイリッハ・トゥイス単体にとどまらない。児童福祉分野全体で人手と予算が不足しており、支援を必要とする子どもたちが適切な福祉サービスにつながれないまま状態が悪化し、それがさらなる通報増加に直結するという悪循環が生じている。「通報をたらい回しにしているだけだ。児童福祉全体が機能不全に陥った結果が、うちの待機リストに現れている」とアウエネールは述べた。
政府への要求と今後の行方
5年前、政府・地方自治体・関連機関が連携して課題解消に取り組む計画が策定されたが、財源は今も手当てされていない。フェイリッハ・トゥイス側は短期的な人員増強も含め、7,000万ユーロの追加予算を政府に求めている。
スタルク担当大臣は「問題の所在を精査することが重要だ」と述べ、近く地方自治体代表やフェイリッハ・トゥイスと協議する意向を示した。ただし追加資金の拠出については明言を避けており、議会では医療予算をめぐる審議が続く予定だ。在蘭の子育て世帯や、支援職・医療職に就く日本人にとっても、この機関の機能不全は無縁ではない。虐待や家庭内暴力の疑いを感じた際に頼れる窓口が機能しているかどうかは、社会全体の安全網に直結する問題だ。
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情報源: NOS Algemeen


