極右の「正常化」はもう止められないのか――オランダ政界に広がる懸念
治安当局が警告、43議席の極右勢力が変える政治の風景
オランダの政治地図が静かに、しかし確実に塗り替えられている。現在、下院(Tweede Kamer)において極右政党が占める議席数は合計43議席に上り、その存在感はかつてないほど高まっている。単なる泡沫勢力として扱われてきた極右が、今やオランダ政治の「日常風景」の一部となりつつある——そうした現実に、政界も治安当局も正面から向き合わざるを得なくなってきた。
治安当局が公式に「正常化」を警告
先月、オランダの治安当局は公式レポートの中で、極右思想の「正常化(normalisering)」という現象について明確に警告を発した。注目すべきは、その正常化が外部からの圧力によるものだけでなく、政治政党自身によっても促進されていると指摘している点だ。フォーラム・フォア・デモクラシー(FVD)の上院議員が、マリーフェルトで開催された極右集会に参加していたことも、その具体的な事例として報告されている。FVDはこれまでも人種差別主義者や女性蔑視的な発言をする人物との関係を公然と深めてきたと報じられており、今回の集会参加はその延長線上にある行動として受け止められている。
政界とメディアに問われる役割
NRCのポッドキャスト「Haagse Zaken」では、政治記者のグース・ファルクと調査ジャーナリストのウィルマー・ヘックが、この正常化のプロセスを詳細に論じている。議論の中心にあるのは「政治は介入できるのか」「メディアはどう報じるべきか」という二つの問いだ。極右の主張を広く伝えることが結果的にその正当化につながるのか、あるいは報じないことで問題を見えにくくするのか——メディアはこのジレンマに直面している。一方で、NRCの分析によれば、極右ブロックは規模こそ大きくなったものの、その政治的実効性はいまだ限定的だという見方もある。連立交渉や立法過程での影響力は、議席数ほどには拡大していないというのがその根拠だ。
在蘭日本人にとっての意味
極右思想の正常化は、移民政策や多文化共生をめぐる社会的雰囲気に直結する問題でもある。オランダに暮らす外国籍住民にとって、政治言説の変容は日常生活の感覚とも無縁ではない。排外的な主張が「過激」ではなく「普通の意見」として受け入れられていく過程は、社会の許容範囲そのものを変えていく。治安当局の警告と政界・メディアの対応がこれからどのような形をとるのか、オランダ在住者として注視しておく価値のある動向だ。
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情報源: NRC




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