メインコンテンツへスキップ
オーファーアッセルト銃撃事件——42人逮捕が明かす「傭兵招集」の全貌
社会 読了 3分

オーファーアッセルト銃撃事件——42人逮捕が明かす「傭兵招集」の全貌

SNSで騙された若者たちと、組織的な武装集団が引き起こした一夜の惨劇

この記事をシェア ✓ コピーしました

9月1日未明、ヘルダーラント州の小さな村オーファーアッセルトは、前代未聞の集団銃撃事件の舞台となった。NOSとOmroep Gelderlandが刑事訴訟記録をもとに再構成した詳細は、組織的な暴力と、それに無自覚なまま巻き込まれた人々の姿を浮き彫りにしている。

「全方向から閃光が飛んでくる」——現場の惨状

午前4時すぎ、最初のパトカーがエウェイクセウェフ通りに到着した。隊員は出動前から「防弾チョッキを着用せよ」と指示を受けていた。車を降りた瞬間、銃撃が始まった。一人は脚の動脈を撃ち抜かれ、その場で緊急ボタンを押しながら「足を撃たれた」と叫んだ。もう一人も足を負傷した。駆けつけた第二のパトカーの隊員たちは、「多数の人影が縦横に走り回り、あらゆる方向から閃光が飛んでくる」状況に直面したと証言している。

現場では合計約40発が発射された。重傷を負った隊員を同僚が体を張って車に押し込み、フロントガラスが砕けた状態で、下半身を車外に垂らしたまま現場を離脱した。その直後、英語でフランス語訛りの男が警官に近づき、「あの車の中に死者がいる」と告げた。車内には、その夜たまたま番を交代して現場についていた警備員のベリーさんが、死亡した状態で発見された。

ベルギーの倉庫で武装させられた「傭兵たち」

事件の背景には、国際的な人員招集の仕組みがあった。フランス人の容疑者グループはまずブリュッセルに集結し、8月31日夜、身元不明の倉庫へ連れて行かれた。そこでスマートフォンと身分証明書を没収され、拳銃や自動火器を支給された。グループは「銃の扱いに慣れた者」と「未経験者」に分けられ、前者が前衛、後者が後衛を担わされた。

「金魚も猫も関係ない、全員殺せ」——これが経験者グループに与えられた命令だったとされる。拒否は許されなかった。「ウクライナ出身の30歳の男、通称『チェチェン人』」がリーダー格とみられ、逃げようとした者は銃で脅され、持ち物と現金85ユーロを奪われたと複数の容疑者が証言している。

多くの容疑者はSNSや仲介者を通じて「割のいい仕事がある」と誘われていた。ある者は「車を盗む仕事だと思っていた」と語り、別の者はメッセージで「1万5000ユーロ、今日7500、残りは2日以内」というやりとりを確認されている。ホームレスで食料を盗んで生活していたフランス人、母親と同居し2万5000ユーロの借金を抱えていた若者——その多くが経済的に追い詰められた状況にあった。

逃走と逮捕、そして在蘭日本人への示唆

銃撃が始まると、一部の容疑者はすぐさま逃走した。トウモロコシ畑に潜伏した者は熱感知カメラとドローンで発見され、ポーランドナンバーのトラックに乗っていた3人はA50高速道路でに追い詰められた。ナイメーヘンのガソリンスタンドで捕まった者、泥だらけでタクシーを呼ぼうとした者、盗んだ自転車で土手を走っていた者もいた。最も遠くまで逃げた2人は、ベルギー国境手前のA76リンブルフ州で正午過ぎに逮捕された。その後も捜査は続き、ゲント近郊でさらに3人が身柄を確保された。

事件の標的は、薬物犯罪で有罪歴を持つヤン・G.氏とみられている。42人の容疑者のうち39人が現在勾留中で、1人を除く全員が殺人および殺人未遂などの重罪で起訴されている。最年少はわずか16歳で、オランダ、ベルギー、フランス出身者が混在している。

組織犯罪が国境を越え、経済的弱者を「使い捨ての実行犯」として動員するこの構図は、オランダ社会における暴力犯罪の深刻な変容を示している。在蘭日本人にとって直接の脅威とは言えないが、地方の村でさえこうした事件が起きうるという現実は、日常の安全意識を改めて問い直すきっかけとなるだろう。

情報源: NOS Algemeen

この記事をシェア ✓ コピーしました

📩 無料メールニュース

明日のオランダニュースも、メールで読みませんか?

毎朝、その日のニュース要約と音声版(ポッドキャスト)が
メールで届きます。無料です。

無料で購読する

関連ニュース