国防相、ロシアを「敵」と明言―情報機関強化法案には民主主義への懸念も
言葉の変化が示す「新たな現実」と、監視体制をめぐる議論
オランダのディラン・イェシルギョズ国防相は先週木曜日、議会の国防予算審議の場でロシアを指す言葉として、これまでの「侵略者(aggressor)」に代えて「敵(enemy)」という表現を公式に使い始めた。審議の休憩中に公共放送NOSの取材に応じた同相は、「ロシアが自らを敵として提示していることは非常に明確だ」と述べた上で、「これは戦争状態にあることや、突然まったく異なるアプローチをとることを意味するものではない」と説明した。右派自由主義政党VVDに属するイェシルギョズ相は、欧州各地でロシアによる妨害工作、ドローン事案、威圧行為が増加している現状を踏まえ、脅威を正確な言葉で呼ぶべきだと判断したという。
「新たな現実」という認識の変化
同相はロシアが長年にわたり欧州最大の脅威であり続けてきたとしつつも、その危険度は「新たな現実(new reality)」と呼ぶべき水準に達していると述べた。「プーチンは私たちの同盟がどれほど強固かを試している」とも語り、専門家の助言を受けてより直接的な言葉を選ぶことにしたと明かした。ロシアによるウクライナ侵攻以降、防衛費の増額と欧州同盟国との連携強化を軸とした政策は変わらないと強調しており、「以前もナイーブではなかったし、これからもナイーブにはならない」と言い切った。情報機関AIVDは今年4月の年次報告で、国家安全保障への圧力が第二次大戦後最大の水準にあると警告しており、こうした認識が今回の発言の背景にある。
情報機関強化法案と監視体制への懸念
安全保障上の言葉の変化と並行して、制度面でも大きな動きが進んでいる。政府は今年8月、国内情報機関AIVDおよび軍情報機関MIVDに対し、ロシア・中国・イランを対象とした広範な新権限を付与する法案草案を公表した。この法案の核心は、両機関がロシアの情報機関など「明白な敵対勢力」を指定し、その組織のために働いていると判断した人物に対して、独立した監視機関の事前許可なしに活動できるようにする点だ。対象者の適法性確認は事後の新たな単一監督機関が担う「事後監督」モデルへの移行を意味する。また、銀行・大学・オンラインプラットフォームなどの組織に対して情報提供を求める権限も含まれている。
これに対し、現在AIVDとMIVDを監督する独立監視機関は強い批判を表明している。情報機関審査委員会(CTIVD)のフーゴ・ヒレナール委員長は先月NOSに対し、今回の法改正案は民主的法治そのものを脅かしかねないと警告した。在蘭日本人を含む一般市民にとって、情報機関の権限拡大と監督体制の後退が実際にどのような影響をもたらすかは、今後の議会審議の行方を注視する必要がある。ロシアへの呼称変更が象徴するように、オランダの安全保障をめぐる議論は「言葉」だけでなく「制度」のレベルでも新たな段階へと踏み込みつつある。
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情報源: DutchNews




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