メインコンテンツへスキップ
amsterdam homeless housing protest
社会 読了 2分

持ち家から公園のベンチへ——64歳が語る「誰にでも起きうる」住宅難の現実

アムステルダムで住宅不足抗議デモ、当事者の声が問いかけるもの

この記事をシェア ✓ コピーしました

クイクに自分の持ち家を持ち、ごく普通の生活を送っていた64歳のピーター・ウィレムスさんが、いつしか公園のベンチで夜を明かし、空き瓶のデポジット(statiegeld)を集めて日々の食費を賄う生活に陥っていた。重なる不運が積み重なった末の転落だった。「ただ生き延びることだけを考えていた」——彼の言葉は、オランダの住宅危機が統計上の問題ではなく、一人ひとりの生活を根こそぎ奪いかねない現実であることを、鮮やかに示している。

転落のきっかけは「重なる不運」

ウィレムスさんはもともと持ち家の所有者だった。しかし相次ぐ逆境——詳細は明かされていないものの、健康問題や収入の途絶といった個人的な危機が重なったとみられる——により、高騰した家賃を支払い続けることが不可能になった。オランダの民間賃貸市場では近年、家賃が急激に上昇しており、社会住宅(sociale huurwoning)の待機リストは多くの都市で数年から十数年に及ぶ。こうした構造的な問題が、ひとたび生活基盤が揺らいだ人々の「受け皿」を失わせている。ウィレムスさんのケースは、その典型的な帰結と言えるだろう。

アムステルダムのデモへ——当事者として声を上げる

そのウィレムスさんが今週末、多くの市民とともにアムステルダムで開かれる住宅不足への抗議デモに参加する。自らの体験を携えて街頭に立つ理由は明確だ。「これは本当に、誰にでも起こりうることだ」と彼は語る。デモは住宅問題を政治課題として訴え続けてきた市民団体や住民グループが主導しており、全国各地からの参加者が見込まれる大規模な集会となる見通しだ。持ち家を持ち、安定した生活を送っていた人間でさえ、こうした状況に追い込まれるという事実は、参加者たちが訴えるメッセージに強い説得力を与えている。

在蘭日本人にとっての示唆

オランダに暮らす日本人にとっても、住宅問題は決して対岸の火事ではない。アムステルダムやロッテルダムなど主要都市では、民間賃貸の平均家賃が月1,500ユーロを超えるケースも珍しくなく、駐在員や留学生、長期居住者を問わず住まいの確保は年々難しくなっている。ウィレムスさんの物語が伝えるのは、住宅とは単なる「コスト」の問題ではなく、生活のあらゆる基盤を左右する社会インフラだということだ。今週末のデモは、その問題意識を可視化する一つの機会となる。

情報源: AD

この記事をシェア ✓ コピーしました

📩 無料メールニュース

明日のオランダニュースも、メールで読みませんか?

毎朝、その日のニュース要約と音声版(ポッドキャスト)が
メールで届きます。無料です。

無料で購読する

関連ニュース