労組と内閣が社会保障改革の予算交渉を開始――60億ユーロの財政不足が焦点に
ストライキ回避の代償、少数与党は左右両翼の綱引きに直面
オランダの主要労働組合であるFNV、CNV、VCPと内閣は、社会保障制度改革をめぐる予算交渉を開始した。ロブ・イェッテン首相は「本格的な交渉はこれからだ」としつつも、初回の協議は友好的に進んだと述べた。雇用者団体も交えた今回の話し合いは、行き詰まっていた来年度予算の成立に向けた重要な一歩となる。
60億ユーロの穴をどう埋めるか
交渉の出発点となったのは、約60億ユーロにのぼる財政不足だ。政府はもともと、長期障害給付(WIA)の削減と失業給付(WW)の受給期間短縮によって社会保障費を圧縮する計画だったが、これに強く反発した労組側がストライキを予告。政府が撤回を余儀なくされた結果、大きな財源の空白が生じた。先週、三大労組はストライキ計画を取り下げ、交渉の席に着くことで合意した経緯がある。
FNVのハンス・スペクマン委員長は「給付制度をより費用効率の高いものにする方法を労組として検討する用意はある」と述べた一方、内閣側から具体的な削減目標の数字が示されていないことを指摘した。「私たちはまだ、達成すべき数値目標を与えられていない」という言葉が、交渉の緒についたばかりであることを示している。
右派・上院からの二正面の圧力
予算成立を阻む壁は社会保障問題だけではない。少数与党政権は、両院での可決に向けて左翼野党のProやVoltの支持を取り付ける必要がある一方、右派政党への配慮も欠かせない。エールコ・ハイネン財務大臣は、資産価値ではなくキャピタルゲインに課税する仕組みへと「ボックス3」制度を見直す改革案を提示しているが、約85万人の小口投資家や貯蓄者を課税対象から外す当初案が右派各党から批判を受け、修正を余儀なくされている。
さらに上院では、農業政党BBBが新たな圧力をかけている。ヤイミ・ファン・エッセン農業大臣は夏の議会休会前に窒素化合物排出削減策を発表したが、BBBはこれが農業や農村ビジネスにとって受け入れがたいとして、予算案の上院阻止を警告している。BBBは上院で第2党の議席数を持つだけに、その影響力は無視できない。イェッテン首相は上院討議の場で「再交渉の余地は少ない」と述べ、BBBが予算と窒素対策を連動させることへの懸念を示した。BBBのヘンク・マルカ・スホルス上院議員はニュースフルのインタビューで「窒素書簡が撤回されるなら、内閣と協力する用意はある」と語っており、妥協点が見えるかどうかが今後の焦点となる。
在蘭日本人への影響と今後の見通し
一連の交渉は、オランダで就労・居住する日本人にとっても無縁ではない。WIAやWWは外国籍労働者も適用を受ける社会保険制度であり、制度の変更は病気や失業に際したセーフティネットの中身に直結する。加えてボックス3改革は、オランダ国内で貯蓄や投資を行う外国人にとっても税負担の変化をもたらしうる。予算案の行方は多方面での綱引きに左右されており、年末にかけての交渉の動向を引き続き注視する必要がある。
広告掲載にご興味のある方は こちら
情報源: DutchNews




/s3/static.nrc.nl/wp-content/uploads/2026/10/23144459/261026VER_2037742375_burg.jpg)
/s3/static.nrc.nl/wp-content/uploads/2026/10/22153851/261026ECO_2037214989_overlast2.jpg)