ヴェルウェの羊飼い、オオカミ対策にイタリアの牧羊犬を導入
電気柵だけでは守れない——移動中の羊を守る「白い番犬」の知恵
ヘルダーラント州のヴェルウェ地域で、羊飼いたちがオオカミ対策に新たな一手を打ち出した。ボランティア団体「スティフティング・スハーペドリフト・エルメロ(Stichting Schapedrift Ermelo)」が今夏、イタリア原産の牧羊犬「マレンマーノ・アブルゼーゼ」2頭を群れの護衛として導入したのだ。電気柵とともに活用されるこの取り組みは、人とオオカミの共存をめぐる地域の苦悩を映し出している。
オランダ最大のオオカミ生息地、ヴェルウェ
ヴェルウェはオランダで最もオオカミが集中する地域だ。2019年にオオカミが戻って以来、約1,000平方キロメートルの範囲に7つの群れが定着し、今や国内最大の生息地となっている。同団体はすでに高さ約2.4メートルの電気柵を羊の囲いの周囲に設置しているが、ヒースランドを移動する際の羊の護衛が依然として手薄なままだった。「オオカミによる脅威が増していると感じています。この辺りにも羊に関心を示す個体が何頭かいます」と、羊飼いのマリオン・デルクスさんは地元メディア「オムロップ・ヘルダーラント」に語っている。
数世紀の歴史を持つ「白い番犬」
マレンマーノ・アブルゼーゼは、イタリアの山岳地帯で数世紀にわたって牧羊犬として使われてきた犬種だ。白い長毛が特徴で、羊の群れに溶け込むように育てられる。デルクスさんによれば、この犬種の魅力は攻撃性の低さと高い警戒心にある。「危険を察知した瞬間、犬の態度が変わるのがわかります。体を大きく見せて、吠え始めるんです」と彼女は説明する。重要なのは、犬がオオカミと直接戦うことを目的としていない点だ。犬の「存在感」そのものがオオカミの接近を思いとどまらせる抑止力として機能することが期待されている。「オオカミは簡単に仕留められる獲物を選びます。難しいと判断すれば、別の獲物を探しに行く」とデルクスさんは語る。
ヴェルウェで暮らす人々への影響
オオカミの再定着はヴェルウェ地域の農家や牧羊業者にとって長年の頭痛の種だ。家畜被害の補償制度や防護柵の設置補助は整備されつつあるものの、移動中の家畜をどう守るかという実務的な課題は残ったままだった。今回の牧羊犬導入は、補助的な技術に頼るのではなく、自然界の知恵を活用した現実的な解決策として注目される。在蘭日本人の中にもヴェルウェ周辺を訪れる人は多いが、ヒースランドの散策中に白い大型犬を見かけた場合は、牧羊犬として働いている可能性があるため、むやみに近づかないよう心がけたい。オオカミと人間、そして羊の共存をめぐる模索は、ヴェルウェでまた新たな局面を迎えている。
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情報源: DutchNews


