皮膚がん診断数、20年で6割増へ――オランダがん機関が年次予測を発表
高齢化だけでない、若年期の紫外線被曝と意識向上が複合的に影響
オランダ総合がんセンター(IKNL)は、毎年恒例のがん統計年次予測を発表した。それによると、皮膚がん(メラノーマおよび扁平上皮がん)の診断数は今後20年で約60%増加し、2045年には男女ともに最も多いがん種になると見込まれる。現在、男性では前立腺がん、女性では乳がんがそれぞれ首位を占めているが、いずれも皮膚がんに抜かれる形となる。がん全体の新規診断数も同期間に約25%増加し、2045年には年間約17万人が新たに診断される計算だ(現在は年間約13万6千人)。
高齢化だけでは説明できない皮膚がんの増加
増加の主因は高齢化と人口増加だが、皮膚がんに限っては別の要因も重なっている。IKNLのシニア研究員であるヤイケ・スヒルテ=プラーフマン氏は「高齢化を補正してもなお、メラノーマの診断数は大幅に増加する見通しだ」と説明する。メラノーマは紫外線、とりわけ若年期の日焼けとの関連が強く、過去の過度な日光浴がいま診断数に反映されつつあるという。
加えて、皮膚の異変への意識が患者・医師ともに高まっており、早期発見が増えていることも診断数を押し上げている。スヒルテ=プラーフマン氏は「皮膚がんがより早く認識されるようになったことも、現在の数字の増加に寄与している」と語った。なお、同予測ではバサール細胞がんは件数が非常に多い一方でほぼ致死的ではないため、今回の統計からは除外されている。
生存率は改善、しかし生活習慣リスクは残る
悲観的な数字が並ぶ一方、治療成果の改善は顕著だ。「30年前はがん患者の5年生存率が約48%だったが、現在は71%にまで向上している」とスヒルテ=プラーフマン氏は述べる。死亡者数も増加が予測されているものの(2045年には年間約5万7千人、現在は4万6千人)、人口規模に対する個人のリスクは緩やかな改善傾向にある。
一方でIKNLは、予防可能ながんが全体の約30%を占める点を繰り返し強調する。肥満に関連する甲状腺がんや肝臓がんの増加も予測されており、生活習慣の影響は依然として無視できない。若い女性の間でニコチン製品(たばこや電子タバコ)の使用が増加していること、またSNS上で日焼けを促すトレンドが広がっていることについても、IKNLは将来のリスク要因として警鐘を鳴らしている。こうした最新のトレンドは今回の予測モデルにはまだ反映されていないという。
オランダ在住の日本人にとっても、夏場の強い日差しや屋外活動の多い生活習慣を考えると、紫外線対策は身近な課題だ。「高齢化には介入できないが、変えられるリスク要因には働きかけられる」というスヒルテ=プラーフマン氏の言葉は、日常の習慣を見直す一つの契機となりうる。
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情報源: NRC


