教科書が高すぎる――オランダ競争当局が出版社に警告
抱き合わせ販売と再利用率ゼロ、中学教科書市場の歪みとは
オランダの消費者・市場局(ACM)は、中学校向け教科書市場における大手出版社の販売慣行を問題視し、価格と品質の透明性向上を求める勧告を発表した。長年にわたって議論が続いてきた教科書の高騰と再利用率の低さについて、競争当局が正式に見解を示した形だ。
寡占市場で続く価格上昇
オランダの中学校が毎年購入する教科書・学習教材の総額は約2億8000万ユーロにのぼる。ThiemeMeulenhoff、Malmberg、Noordhoffの3社がこの市場の大部分を占めており、ACMの調査によれば、ほぼすべての教科でこれら3社が大きく安定したシェアを維持している。ACM会長のマルタイン・スノープ氏は「価格が上がっても学校はほとんど別の教材に乗り換えない。過去7年間で価格は比較商品を上回るペースで上昇しており、市場が正常に機能していない」と述べた。
問題の核心として指摘されているのが、紙の教科書を購入する際にデジタル版の同時購入を事実上義務づける「抱き合わせ販売(koppelverkoop)」だ。ACMはこれを「社会的に望ましくない販売戦略」と批判する。教育系出版社の業界団体MEVWは今年初め、加盟各社にこの慣行をやめるよう勧告していたが、現場での徹底には至っていないとみられる。
使い捨てが当たり前になった学習教材
もう一つ深刻な問題として挙げられているのが、教材の再利用率の低さだ。多くの生徒がワークブック形式の教材を使っており、再利用可能な教科書の供給はほぼゼロ近くにまで落ち込んでいる。書き込み式の消耗品として設計された教材は、1年使われるとそのまま廃棄されるケースが大半で、資源の無駄遣いという批判も根強い。
ACMは今回の報告書で法令違反の認定には踏み込まず、勧告にとどめているものの、スノープ氏は「市場支配力を持つ出版社による抱き合わせ販売は違法となりうる。改善が見られなければ追加調査を行う可能性がある」と述べており、次のステップへの圧力をにじませた。
学校側にも求められる行動
ACMは出版社への改善要求にとどまらず、学校側にも積極的な役割を求めている。スノープ氏は「学校が購入時に価格と品質の関係をより厳しく精査し、持続可能で再利用可能な教材を選ぶ意思を示すことが、出版社への圧力につながる」と指摘した。学校が節約した教材費を教育の質向上に振り向けることができる点も強調されている。
複数の学校法人が共同調達を行う協同組合SIVONの取り組みはACMから一定の評価を受けているが、「さらに一歩踏み込む余地がある」とも指摘された。子どもを持つ在蘭日本人家庭にとっても、オランダの学校で使われる教材の費用は無縁ではない。教科書市場の透明性が高まれば、学校の財政負担が軽減され、教育環境の向上につながる可能性がある。今後、ACMの勧告を受けた出版社・学校・政策当局がどう動くかが注目される。
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情報源: NOS Algemeen




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