列車乗務員への暴力が急増、労組が政界に緊急書簡で対策を要求
2025年の暴力報告はすでに5,088件――主任車掌のBOA権限回復も焦点に
オランダの鉄道職員組合VVMC(スポールウェイ・パーソネル組合)が、NS(オランダ国鉄)乗務員への暴力・脅迫・唾吐きが深刻な水準に達しているとして、政界に緊急書簡(ブランドブリーフ)を送付した。NSの統計によれば、暴力事件の報告件数は2023年の2,672件から2024年には5,696件、2025年通年では6,442件へと急増。今年はすでに5,088件に達しており、うち1,368件が身体的暴力、105件が武器による脅迫だった。
深刻化する現場の実態
件数の増加にとどまらず、個々の事案の重大性も増している。今年2月にはロッテルダム・ブラーク駅で乗務員が暴行を受け意識を失い、約半年後にはデン・ドルダー駅でも同様の事態が起きた。8月6日にはアルメーレ・セントラム駅で、乗務員と警察官が複数人負傷する事件が発生。NS乗務員の1人は激しく噛まれて親指の一部を失い、別の同僚は手首の骨折と腱断裂を負った。VVMCは書簡の中で「もはや不快な状況ではない。これは公務を遂行する人々への重大な暴力事件であり、構造的な安全問題だ」と訴えている。
BOA権限の廃止と制度の空白
問題の根底にあるとVVMCが指摘するのが、2022年に廃止された主任車掌のBOA(特別捜査官)権限だ。この権限を失って以来、乗務員は独自に調書を作成したり、住民基本登録(BRP)にアクセスして身元を確認したりすることができなくなった。今年から主任車掌にボディカメラが配備されたものの、組合はこれが失われた権限を補うには不十分だと主張する。VVMCは「政治はもはや『暴力は容認できない』と述べるだけでは足りない。今すぐ行動が必要だ」と締めくくり、車内の安全要員(Veiligheid en Service)の増員や、警察・司法・政界を含む包括的な対策を求めている。
一方、制度面での小さな前進もある。10月1日からBOAが運転免許証登録簿にアクセスし、写真付きで無賃乗車者や迷惑行為者の身元を確認できるようになる。公共交通事業者は木曜日から申請手続きを開始できる。これまで身分証不携帯の場合は警察の到着を待つしかなく、待機中に状況が悪化したり、結果的に警告のみで放免するケースが多かった。新制度はこうした現場の運用上の課題を部分的に解消するものだが、VVMCはより抜本的な対策を引き続き求めていく姿勢を崩していない。オランダの鉄道を日常的に利用する在蘭日本人にとっても、乗務員の安全確保は車内秩序の維持に直結する問題であり、今後の政策議論の行方が注目される。
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情報源: NOS Algemeen


