貯蓄・投資課税(ボックス3)、2028年から対象者が数十万人規模で拡大へ
非課税枠は1,800→1,000ユーロに縮小、株式は売却時課税方式へ転換
オランダで2028年から富裕税(ボックス3)の制度が大幅に見直されることになりそうだ。放送局NOSが閣内審議から漏れた情報として伝えたところによると、改正後は新たに数十万人規模が課税対象に加わる見通しで、貯蓄や株式、仮想通貨、セカンドホームを保有する多くの人々に影響が及ぶ。現在ボックス3の納税者は約250万人とされており、改正によってその裾野がさらに広がることになる。
株式課税は「売却時のみ」に変更、非課税枠は縮小
現行制度では、ボックス3の対象資産に対して想定利回りをもとに36%の税率が適用され、一人あたり約5万9,357ユーロの非課税枠が設けられている。今年2月に国会で承認された新法では、株式を含むほぼすべての資産について、売却していなくても毎年の価値上昇分(未実現利益)に課税する方式が予定されていた。しかしNOSの報道によれば、この株式への未実現利益課税は撤廃される方向で、株式については売却して実際に利益が出た時点で初めて課税される方式に切り替わる見込みだ。これは極右政党JA21などの右派勢力が強く求めてきた内容と一致する。
一方で、売却時課税への移行に伴う税収減を補うため、年間の非課税枠は当初案の1,800ユーロから1,000ユーロに引き下げられる見通しとなっている。これにより従来は課税対象外だった中小規模の資産保有者も新たに税負担を求められるケースが増え、対象者数の大幅な拡大につながると見られている。
法人オーナーへの影響と社会保障費削減の撤廃
自身のBV(有限会社)を持つ事業者にも変化が及ぶ。現在50万ユーロまで認められている自社からの優遇条件での借り入れ枠が、10万ユーロに大幅縮小される予定だ。ただし住宅購入を目的とした自社からの借り入れに関するルールは変更されない。その一方で、オーナーが自社から受け取る配当に対する税率は4年間にわたって引き下げられる。これは事業主が会社内に留保している資金を外に出すよう促し、短期的な税収増を狙った措置とされる。今回の一連の変更によって生じる余剰財源は約5億ユーロに上ると試算されており、閣内では所得税の減税に充てる方向で議論が進んでいるが、具体的な配分方法はまだ決まっていない。
また、今回の審議から流出した情報は、当初予定されていた社会保障費の削減が見送られることも裏付けている。左派のProや汎欧州政党Voltがすでにこの方針を示唆していたが、オランダ最大の労働組合FNVのハンス・スペクマン会長は、削減が撤廃されれば交渉のテーブルに戻ると表明した。一方でJA21は財源の一部が「小口投資家に打撃を与えるものだ」と批判し、高齢者政党50PLUSの議会グループ代表ヤン・ストルイスも、警察官や看護師、年金受給者への影響を検証する「ストレステスト」の実施を求めた。少数与党の閣内は予算案を上下両院で通過させるために野党票が不可欠であり、エールコ・ハイネン財務大臣は今週の予算審議に先立ち、詳細を盛り込んだ書簡を議会に提出する見通しだ。
在蘭日本人への影響
オランダに居住し貯蓄や株式を保有する日本人にとって、今回の改正は他人事ではない。現在の非課税枠(一人あたり約5万9,357ユーロ)と比べて新制度の仕組みは大きく異なり、売却した株式の利益や貯蓄の運用益が課税対象となれば、これまで申告不要だった層が申告を求められる可能性もある。BVを通じて事業を行う日本人起業家も、自社借り入れ枠の縮小によって資金計画の見直しが必要になるかもしれない。制度の詳細は今週の議会審議を経て固まっていく段階にあり、引き続き動向を注視することが求められる。
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情報源: DutchNews




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