DV相談窓口「Veilig Thuis」チャットが24時間対応へ 深夜・休日の声を拾う新体制
導入1か月でチャット相談数が前年比3倍、対応遅延の解消につながるか
オランダの家庭内暴力・児童虐待相談窓口「Veilig Thuis(ヴェイリヒ・タイス)」が、チャット機能を24時間365日対応に拡充した。電話による相談窓口はすでに24時間体制だったが、チャットはこれまで業務時間内のみの対応に限られていた。今回の変更は1か月前に静かに導入され、9月になって正式発表されたものだが、その効果はすでに数字に表れている。
深夜23時にも届く声
Veilig Thuisで信頼医師兼チャット担当者を務めるElijah Sanchesは、「仕事を終えて帰宅した人たちが、ゆっくり考える時間ができてコンタクトをとってくる」と話す。チャットの利用者数は仕事終わりの時間帯と、夜23時ごろに2つのピークがあるという。「隣人の騒音が気になって相談してくる人もいれば、パートナーに怒鳴られ殴られながらトイレからチャットしている女性もいる。チャットなら匿名で連絡しやすいのも大きい」とSanchesは語る。急迫した危険がある場合の対応は変わらず、緊急電話番号112への連絡を案内している。
こうした深夜や休日の声が掘り起こされた結果、拡充導入から1か月となる8月のチャット相談件数は、前年同月と比べて3倍に増加した。現在ではすでに、業務時間外のチャット数が業務時間内を上回っている状況だ。
深刻化する通報対応の遅延
チャット対応の拡充には、深刻な課題への対応という側面もある。Veilig Thuisへの通報件数は年々増加しており、昨年は13万6千件の通報が寄せられた。そのうち9万件超は同窓口がまだ関与していない家庭からの新規通報で、残る4万件超はすでに支援が入っている家庭に関するものだった。
オランダの法律では、通報を受けてから5日以内にリスク評価を完了することが義務づけられている。しかし近年は、この期限を守れないケースが全体の半数近くに達しており、監督当局から繰り返し改善を求める声が上がっていた。
Sanchesは「チャットを通じて、本来は正式通報でなくアドバイスで十分な案件を適切にふるい分けられるようになる」と期待を示す。相談と通報の振り分けを効率化することで、精査が必要な通報案件へのリソースを集中させ、対応スピードを引き上げるのが狙いだ。
AIではなく「人」が対応
もう一つ注目すべき点は、チャット相手が自動応答のAIではなく、実際のスタッフであることだ。「普通に人と話しているだけです」とSanchesは強調する。同組織ではAIを使った実験を行ったことがあるが、それはあくまで今後チャット体験をより良くするための研究段階のものだという。「本当に困っている状況では、やはり人間が必要だ」とSanchesは言い切る。将来的にAIを補助的に活用する可能性は残しつつも、当面は人による対応を維持する方針だ。
在蘭日本人にとっても、言語や文化の壁から相談をためらう場面は少なくない。Veilig Thuisのチャット機能がオランダ語対応である点は変わらないが、24時間いつでも匿名でアクセスできるという選択肢の広がりは、周囲のオランダ人家庭のSOSを早期に察知し、適切な機関へつなぐ際の知識としても知っておく価値がある。
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情報源: NOS Algemeen


