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社会

「ここに住めるなら」——キリスト教系大学の寮を選んだ23歳の住まい哲学

HARRO LIFE
社会 読了 2分

「ここに住めるなら」——キリスト教系大学の寮を選んだ23歳の住まい哲学

オランダの学生住宅難のなか、価値観で住む場所を選ぶ若者たち

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ヨリンダ・ムルダーさん(23)が実家を出ると決めたのは、19歳のときのことだ。しかし彼女には、ひとつだけ譲れない条件があった。キリスト教系学校「ドリースター(Driestar)」の学生フラットに入居できるなら家を出る、それが駄目なら出ない——。その言葉どおり、ヨリンダさんは希望の寮に入居を果たし、ロッテルダムの実家から新天地へと生活の場を移した。

「ここじゃなければ意味がない」という選択

オランダでは学生の住宅難が長年の社会問題となっており、部屋を見つけられずに実家から遠距離通学を余儀なくされる学生も珍しくない。そうした状況のなかで、ヨリンダさんの選択は一見すると非合理にも映る。選択肢を自ら狭めているようにも見えるからだ。しかし彼女の言葉には明確な意志がある。「ここに住める場合だけ、家を出たかった」。利便性や家賃よりも、自分の価値観と合う環境を優先したのだ。

ドリースターは改革派キリスト教の教育理念に基づく学校であり、その学生フラットも同じ信仰的背景を持つ学生たちが集まるコミュニティを形成している。単なる「屋根のある場所」ではなく、生活全体を支える共同体としての住まいを求めた結果が、この選択だったといえる。

オランダの学生住宅事情と「価値観で選ぶ」潮流

オランダ全土で学生向け住宅の不足は深刻だ。大都市アムステルダムやロッテルダムでは、物件の競争倍率が高く、入居までに数カ月から1年以上かかるケースもある。学生の約30%が通学圏内に手頃な住居を見つけられないという調査結果も報告されており、住まいは多くの若者にとって切実な課題だ。

そのような環境だからこそ、ヨリンダさんのように「どこでもいいから部屋を確保する」のではなく、「自分に合った場所を待つ」という姿勢が際立って見える。この種の住まい選びは、宗教的コミュニティに限らず、サステナビリティ重視のエコ住宅や、特定の趣味・職業でつながるコレクティブ住宅など、オランダ各地で静かに広がりを見せている。

在蘭日本人にとっての視点

日本からオランダに移り住んだ人々にとっても、住まい探しは最初の大きな壁のひとつだ。言語の壁や保証人問題に加え、物件そのものの絶対数の少なさが外国人入居者をさらに困難な状況に追い込む。ヨリンダさんの事例は特殊に見えて、実は「何を優先するか」という普遍的な問いを突きつけている。

AD紙の住まい特集「Onder de Pannen(屋根の下で)」は、こうした個人の住まいにまつわるストーリーを継続的に取り上げている。数字や政策だけでは見えてこない、オランダの住まい文化のリアルを伝えるシリーズとして、生活に密着した読み物として注目に値する。ヨリンダさんの選択は、住む場所に「意味」を求めることの大切さを、静かに語りかけている。

情報源: AD

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