メインコンテンツへスキップ
ロッテルダム近郊に精神障害者向け新型グループホーム——最長8年の長期支援を試験導入
社会 読了 2分

ロッテルダム近郊に精神障害者向け新型グループホーム——最長8年の長期支援を試験導入

「たらい回し」の連鎖を断ち切る、オランダ初の構造的ケア施設

この記事をシェア ✓ コピーしました

ロッテルダム近郊の村、ポールトハールに、重篤な精神疾患と依存症を抱えるホームレスを対象とした新型の監督付き集合住居が試験的に設置される。施設を運営するアルテス(Artes)によれば、40人の入居者を受け入れ、長期的かつ構造的なケアを提供するという。街路と刑務所・精神科クリニックを行き来するだけの「たらい回し」の連鎖を断ち切ることを目的としており、オランダのメンタルヘルス支援の在り方に一石を投じるモデルケースとして注目されている。

制度の「すき間」に落ち続けてきた人々

オランダ国内では、公安上のリスクが高いとみなされる人物が約1,500人いるとされる。その多くは学習障害、精神疾患、薬物・アルコール依存を複合的に抱えており、公共の場での攻撃的・混乱的な行動につながりやすい。問題はこうした人々に対応できる受け皿が制度的に不足していることだ。現行の精神科クリニックはあくまでも約3か月の短期入院を前提とした設計で、長期的なケアには対応していない。結果として、患者が退院後に路上へ戻り、再び施設に収容されるという悪循環が繰り返されてきた。

アルテスのラウラ・ファン・ホール氏はオランダの報道番組「ニュースアワー(Nieuwsuur)」に対し、「彼らが本当に必要としているのは数年にわたる集中的なサポートだが、現在のオランダにはそれが存在しない。施設をたらい回しにされるだけだ」と語っている。長期入院が続けば待機リストを圧迫し、新たな患者の受け入れにも支障をきたすという構造的な問題もある。

柔軟さと制約のバランス

新施設では、入居者は最長8年間にわたって支援を受けられる。場所はロッテルダム近郊のポールトハールで、同地には司法精神医療クリニックも隣接しており、専門的なバックアップ体制が整いやすい立地だ。既存の小規模施設よりも広いキャンパス内を自由に移動できる環境が用意される一方、監督なしでの外出は認められない。

アルコールや薬物の持ち込みは原則として禁止される。一般的な一時住居では使用が黙認されることが多いだけに、より厳格な方針といえる。ただし、ファン・ホール氏は「使用したら即退去、というわけにはいかない。入居者の95%に薬物問題がある」と現実的な姿勢を示しており、依存症の実情に配慮した柔軟な運用が図られる見通しだ。

オランダ社会全体への含意

この施設はあくまでも試験的な取り組みであり、その効果と課題が今後検証されることになる。精神疾患と依存症、そしてホームレス状態という複合的な困難を抱える人々への支援は、オランダだけでなく多くの先進国が直面する共通の課題だ。短期処置を繰り返すだけでは解決できない問題に対し、長期的・構造的な支援モデルがどれだけ有効かを示す事例として、福祉・公安の両面から注目が集まっている。在蘭日本人にとっても、公共空間の安全や地域の福祉政策を考えるうえで、動向を押さえておきたいニュースだ。

情報源: DutchNews

この記事をシェア ✓ コピーしました

📩 無料メールニュース

明日のオランダニュースも、メールで読みませんか?

毎朝、その日のニュース要約と音声版(ポッドキャスト)が
メールで届きます。無料です。

無料で購読する

関連ニュース