政府、民間企業にガス貯蔵費用の負担義務化を検討——10億ユーロの損失が引き金に
EssentやEnecoなど供給会社への備蓄義務付けを経済省が提案
オランダ政府がエネルギー政策の大きな転換を検討している。冬季に向けたガス貯蔵の費用を、これまでの公的負担から民間供給会社へと移転させる法的義務付けの枠組みを、経済省が正式に提案した。背景にあるのは、ガス市場における価格高騰と、政府系事業者が抱える巨額の損失だ。
10億ユーロの損失と制度の限界
現在、ノルフ、フレイプスケルク、ベルヘルメール、アルクマールの4か所にある国内ガス貯蔵施設の充填費用は、政府出資の事業者「エネルヒー・ベヘール・ネーデルランド(EBN)」が全額を担っている。しかしガス価格の急騰を受け、EBNは約10億ユーロの損失を抱える見込みとなっており、現行モデルの持続可能性に疑問符がついている。
さらに問題を複雑にするのが、EU規則の制約だ。オランダ政府は自国のために購入したガスを国内に留めておくことができず、ガス貯蔵設備が限られるイギリスを含む他のEU加盟国に輸出することが義務付けられている。また、現在の主要供給源である米国産液化天然ガス(LNG)の輸入コストも高止まりしており、政府の財政負担を一層押し上げている。
民間への義務化、オーストリアを先例に
経済省が送付した文書の中では、「現在オランダでは季節的ガス貯蔵に関してほぼ市場が存在していない。季節的貯蔵はサプライヤーの供給保証において不可欠な要素であるにもかかわらず」と現状の課題を明確に指摘。「費用を引き続きオランダの納税者が負担すべきか、それとも別の手段の組み合わせでより低コストな供給保証を実現できるか」と問題を提起している。
民間企業が備蓄に消極的な理由は明快だ。秋以降の価格下落が見込まれているため、今高値でガスを購入・貯蔵する商業的メリットがほとんどない。そのため、EssentやEneco、Vattenfallといった民間供給会社に対して、自社備蓄の構築を義務付ける制度の導入が提案されている。類似の仕組みはオーストリアですでに機能しており、実現可能性の先例として注目されている。
在蘭日本人への影響と今後の注目点
一方、オランダ国内の貯蔵水準は現在57.5%にとどまっており、政府は先週、EUが定める冬前の目標充填率を74%から64%へと引き下げた。これにより当面の「未達リスク」は緩和されたが、エネルギー安全保障の観点からは依然として予断を許さない状況だ。
制度変更が実現すれば、企業側のコスト増が電気・ガス料金に転嫁される可能性もある。オランダに居住する日本人にとっても、家庭のエネルギー料金や光熱費の動向として今後注視すべき政策議論といえるだろう。議会での審議を経て具体的な法的枠組みがどのように設計されるか、引き続き動向が注目される。
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情報源: DutchNews




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