「ICCに手を出すな」——イェッテン首相、国連でトランプ圧力にくさびを打つ
ハーグを本拠地とする国際刑事裁判所への攻撃は、国際法秩序そのものを損なうと警告
オランダのイェッテン首相は、ニューヨークで開催された国連総会の一般討論演説に立ち、国際刑事裁判所(ICC)をめぐる緊張が高まるなか、その独立性を守るよう国際社会に強く呼びかけた。「裁判所、そして国際法秩序を守るあらゆる機関に、手を出すな」——この一言は会場の拍手を引き出し、オランダの立場を鮮明に示した。名指しこそしなかったものの、その言葉が向けられた先は明白だった。
トランプ政権とICCの対立、再び激化
トランプ米大統領は同じ週の国連演説でICCを「反米的な見せかけの裁判所」と断じ、激しく批判した。背景にあるのは二つの問題だ。一つはICCがイスラエルのネタニヤフ首相に対して発令した逮捕状、もう一つはアフガニスタンにおける米軍の行動をめぐる調査である。トランプ政権は2期目に入って以降、ICCへの圧力を強めており、今週初めには裁判所全体に影響を及ぼす制裁措置の準備が進んでいることが複数のメディアを通じて明らかになった。ただしトランプ大統領自身は、演説中この制裁については言及しなかった。
そもそも米国はICCを一度も正式に承認しておらず、国内法によって自国民の裁判所への引き渡しも禁じている。ICCはジェノサイドや戦争犯罪など最も重大な国際犯罪を扱う機関として、オランダのハーグに本部を置く。
「法の支配」の砦としてのハーグ
イェッテン首相は演説の中で、自らがICCの所在地であるハーグに居住していることを強調した。そのうえで、「裁判所への攻撃は国際法秩序全体を損なう。これは私たち全員に関わる問題だ」と訴えた。また、最も重大な犯罪の訴追に反対することがいかに不合理であるかを、問いかける形で聴衆に示した。首相として国連総会の壇上に立つのは今回が初めてであり、国際的な舞台での発信として注目を集めた。
演説ではICCへの言及にとどまらず、国際協力の再設計についても具体的な提言が示された。「中規模国家」が多国間連携を牽引すべきとの考えを示し、ラテンアメリカ・アジア・アフリカの国々が現在も国際的な意思決定の場で周縁に置かれている現状を問題視した。とりわけアフリカ諸国の国連安全保障理事会への参加拡大を具体的に求め、現在の代表構成が不均衡であると指摘した。
在蘭日本人にとって、この問題はけっして遠い話ではない。ハーグは国際司法裁判所(ICJ)やICC、常設仲裁裁判所など複数の国際機関が集積する「国際法の都市」として機能しており、その権威と独立性が揺らぐことは、オランダという国の国際的な立ち位置にも直結する。ICCへの圧力が制裁という形で現実化した場合、ハーグの機能や国際機関に関わる人々の日常にも影響が及ぶ可能性がある。イェッテン首相の発言は、そうした問題意識を国際舞台で明確に示したものといえる。
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情報源: NOS Algemeen




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