AIVD警告:極右の「隠れ蓑政治」が過激思想を主流社会に浸透させている
婉曲表現と SNS を駆使、長期的影響はテロを超えると指摘
オランダ情報機関(AIVD)と国家テロ対策調整官(NCTV)は共同レポートを公表し、極右組織が「ファサード政治(façade politics)」と呼ばれる手法によって、人種差別的・差別的な思想を主流社会の議論に持ち込んでいると警告した。穏やかに聞こえる言葉の裏に過激なイデオロギーを隠すこの戦略が、オランダ社会の内側から民主主義を侵食しているという。
「再移民」という言葉の裏側
レポートが問題視するのは、「再移民(remigration)」に代表される婉曲表現の多用だ。White Lives Matter、Active Club Dietsland、大オランダ学生連合(GNSV)などの団体は、過去10年間で「アイデンタリアン・レジスタンス(identitarian resistance)」という旗印のもとに台頭してきた。これ自体が白人至上主義を言い換えた表現にすぎないと、両機関は指摘する。「実態として、多くのアイデンタリアンは『白人の優越性』を確信しており、他の文化・宗教に対する嫌悪を示している。フェミニストやLGBTI+のような、異なる考えを持つ白人に対してすら同様だ」とレポートは述べている。
こうした用語は、すでに議会政治にも浸透している。昨年10月の総選挙では、JA21、Forum voor Democratie、ヘルト・ワイルダース率いるPVV、BoerBurgerBeweging(BBB)の4党が合計で得票率30%を獲得したが、いずれの党も選挙公約に「再移民」という言葉を盛り込んでいた。過激な思想が、選挙という正規のプロセスを通じて語られるようになっている現実を示す数字だ。
ハーグでのデモと逮捕者
レポートの公表直前の週末には、この問題を象徴するような出来事がハーグで起きた。「Wij Zijn Het Volk(われわれが人民だ)」と名乗るグループが呼びかけた反移民デモに約300人が集結。参加者の一部はナチス式敬礼を行い、反ユダヤ的なスローガンを叫び、「blanke mannen vooraan(白人男性を前へ)」と書かれた横断幕を掲げた。警察がマスクの着用を禁じると参加者との衝突に発展し、24人が逮捕された。ハーグのマリーフェルト広場での反移民デモが暴力的な衝突に至るのは、これで2年連続となる。
「テロ攻撃より大きな脅威」
AIVDは現在、「数百人規模のオランダ人」が右翼テロ活動に何らかの形で関与していると推計しており、一部が実際の暴力に訴える可能性は否定できないとしている。しかし今回のレポートが特に強調するのは、暴力よりもむしろ「ステルス的な民主主義の破壊」だ。TikTokやXといったSNSプラットフォームを通じた過激思想の拡散は、静かに、しかし着実に社会の価値観を変容させている。「長期的な影響はテロ攻撃よりも大きくなり得る」というレポートの言葉は、在蘭日本人を含むすべての居住者にとっても、対岸の火事ではない。移民・多文化共生をめぐる議論が政治の中心に置かれているオランダにおいて、言葉の使われ方そのものへの注意が求められている。
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情報源: DutchNews


