水道水のPFAS汚染、オランダの3分の1以上で推奨値超え——禁止規制を業界団体が要請
法定基準は満たすも、RIVMの健康指針値を大幅に上回る地域が続出
オランダ全国の水道水に含まれる有害物質PFAS(有機フッ素化合物)の実態が、グリーンピースの調査で明らかになった。全国10の水道事業者が持つ測定データを環境団体が独自に分析した結果、オランダ国民の3分の1以上が、RIVM(国立公衆衛生環境研究所)の推奨値を超えるPFASを含む水道水を日常的に使用していることが判明した。
グリーンピースのキャンペーン担当エリン・ボスマン氏は、「データの大半は公開されているが、膨大で整理されておらず、誰にも理解できない状態だ」と語る。同団体はデータアナリストに依頼し、全国の郵便番号エリアごとにPFAS濃度を可視化したマップを作成した。その結果、多くの地域で2023年にRIVMが定めた「指針値」である1リットルあたり4.4ナノグラムを上回っていることが確認された。
最も深刻な北・南ホラント州、水源の違いが濃度を左右
汚染が特に顕著なのは北ホラントと南ホラントの両州だ。ザーンダム、パールメレンド、アイミュイデン、ベーフェルウェイクといった都市では、水道水1リットルに平均14.3ナノグラムのPFASが含まれており、推奨値の約3倍に達している。一方、ドレンテ、フリースラント、フローニンゲンの各州ではPFASはほぼ検出されていない。
この地域差について、水道事業者の業界団体VerinのパトリシアE・ファン・デル・リンデン氏は「地下水を水源とする地域は汚染が少ないが、マース川やライン川、アイセル湖など地表水を利用する地域ではより多くの浄化工程が必要になる」と説明する。各事業者はすでに追加の浄化設備への投資を進めているが、「一朝一夕にできることではない」とも述べている。
ただし、いずれの地域においても、EU法に基づく法定基準値(1リットルあたり100ナノグラム)は大幅に下回っており、水道水の飲用に差し迫った健康上の問題はないとされている。RIVMの推奨値がより厳しく設定された背景には、2023年以降に蓄積された新たな科学的知見がある。「低濃度のPFASであっても免疫系への影響が確認されており、ワクチンの効果が低下する可能性もある」とRIVM広報担当のコーン・ベレンズ氏は指摘する。
国内排出禁止を求める声、水から食品へと広がる課題
グリーンピース、Vewin、RIVMの三者は、PFAS全体の排出規制強化という方向性で一致している。オランダはすでに2023年2月、ドイツ・ノルウェー・デンマーク・スウェーデンと共同でEUへのPFAS禁止提案を提出しているが、ブリュッセルを通じた規制は時間がかかる。Vewinは「越境汚染がある以上、EU規制が不可欠だが、オランダ国内でも依然として大量の排出が続いている。国レベルでの排出禁止措置を早急に設けるべきだ」と訴えている。
在蘭日本人にとって気になるのは、日常の飲料水への影響だろう。現時点では水道水の飲用は安全とされているものの、RIVMのベレンズ氏は重要な視点を付け加える。「水道水から摂取するPFASは、体内への総暴露量の約20%にすぎない。残りの80%はスーパーで買う食品から来ている。水道水のマップを作ることはできるが、全体像を見ればオランダ全土を赤く塗らなければならない」。水道水の改善は必要条件であっても、PFAS問題の解決には食品や製品を含む包括的な規制が不可欠であることを、この言葉は如実に示している。
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情報源: NRC


