オランダ住宅市場の今:新築支援1億ユーロと忍び寄る金利上昇
政府予算案が打ち出した支援策と、購入希望者が直面する現実
オランダ政府は今週発表した予算案の中で、新築住宅の供給拡大を目的とした大規模な財政パッケージを打ち出した。購入を検討する人々にとって朗報となる一方、住宅ローン金利は上昇局面に転じており、市場環境は複雑な様相を呈している。住宅大臣エラノール・ブークホルト=オサリバンが示した一連の施策と、金融面の最新動向を整理する。
政府の新築支援策:恩恵はいつ届くか
予算案で住宅市場に直結する大きな制度変更は限られた。住宅ローン利子控除の構造に新たな変更はなく、所得税の第1・第2区分でわずかな増税が予定されているが、控除額への影響は軽微とみられる。
注目されるのは供給面の施策だ。政府は賃貸住宅と新築開発の促進に向けた複数の措置を講じるほか、別荘・投資用不動産にかかる不動産譲渡税を現行の8%から7%へ引き下げる方針も進めている。そして住宅購入者にとって最も直接的な恩恵となりそうなのが、初回購入者向け支援基金への1億ユーロの追加投入だ。
エクスパット・モーゲージスの住宅ローンアドバイザー、マタイス・ファン・デル・ハイデンは「大規模な新築開発への投資は十分に行われており、新築物件を探しているなら運が向いてくる可能性がある。ただし、その効果が市場に浸透するまでには時間がかかる」と述べる。支援策の実感が購入希望者に届くのはまだ先になりそうだ。
金利上昇と交渉の余地
住宅ローン金利はこの約18カ月間、比較的安定した水準で推移してきた。しかし今年第2四半期から上昇傾向に転じ、地政学的不確実性を背景に現在は急速に上昇している。
ファン・デル・ハイデンによれば、「金利上昇が現時点で住宅価格に直接影響を与えているわけではないが、一部の物件では交渉の余地がわずかに生まれている」という。以前は内覧後すぐに入札を迫られるケースが多かったが、今は2度目の内覧を経てから判断できる物件も出てきているという。不動産業者の中には、売り希望価格と同額または若干下回る価格での交渉を支援するケースも見られるようになった。
金利が高い局面では、自己資金の多寡がより重要になる。「たとえば5万ユーロを頭金として用意できれば、4%超の金利でのローン元本をその分圧縮できる」とファン・デル・ハイデンは指摘する。ただし、低価格帯の物件では依然として需要が旺盛で、オーバービッド(希望価格超えの入札)を迫られる状況は続いている。特に一人暮らしや単独収入の家庭にとって、手頃な価格の物件探しはまだ厳しい状況だ。
「基礎審査」の厳格化と在蘭外国人への影響
オランダ特有の問題として注目されているのが、建物の基礎(土台)に関する審査の強化だ。今年4月以降、銀行は住宅ローン審査において基礎の状態をより厳しく考慮するようになっている。特に大手銀行が先行しており、基礎修繕に多額の費用が必要と判定された物件については、融資可否に影響が出るケースが増えている。
「修繕に10万ユーロが必要とレポートに書かれていれば、銀行はその資金調達の見通しを当然確認する。ローンの増額か、貯蓄での対応か。いずれにせよ、銀行は返済能力を見極めようとする」とファン・デル・ハイデンは説明する。まだ業界全体でのコンセンサスが形成されている段階ではなく、対応は「始まったばかり」だという。
在蘭外国人にとっては、制度の分かりにくさがハードルの一つとなってきた。ただ、一部では変化の兆しも見える。永続契約を持たない就労者や、オランダ国内での事業開始から1年未満の起業家に対しても、銀行の審査姿勢が徐々に柔軟化している。博士課程学生からの住宅購入相談も増加傾向にあるとされ、「永続契約がなければローンなし」という従来の原則は変わりつつある。不動産市場と金融制度の両面で変化が進む中、早めの情報収集と専門家への相談が購入成功のカギとなりそうだ。
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情報源: DutchNews


