イェッテン首相、野党連携先の選択を拒否――秋の予算審議は「悲劇」になるか
少数連立政権の初予算をめぐり、左右両派との板挟みが鮮明に
オランダ議会では、ロブ・イェッテン首相率いる少数連立政権(D66・VVD・CDA)の初予算をめぐる本格的な審議が続いている。首相は審議2日目、左派・右派どちらの野党と連携して予算を通過させるかの選択を問われたのに対し、「今ここで選択することは国家に対して短慮だ」と述べ、明言を避けた。代わりにイェッテン首相は木曜夜、Pro・JA21・ChristenUnie・SGP・BBB・Volt・50PLUSの7野党に対し、現行予算と税制案への支持をめぐる新たな協議を呼びかけると表明した。
左右から突き上げられる首相
しかし、可決の鍵を握る両翼の野党は、この提案に冷淡だ。左派Proのジェシー・クラーフェル党首は「追加協議は夏に決裂した話し合いの繰り返しになるだけ」と切り捨て、「閉じこもって決断しなければ、今秋はオランダにとって悲劇になる」と強い言葉で迫った。右派JA21のヨースト・エールダンス党首も「広範な合意は成立しない。どちらに行くのか」と首相に迫り、連立政権が一本化した支持基盤を見つけられていない現状を露わにした。さらにChristenUnieのミリアム・ビッカー党首は「閣内でも意見が一致していない内閣と話し合うのは難しい」と述べ、首相のリーダーシップに疑問を呈した。内部からの批判も表面化しており、オランダ紙ADは閣僚の匿名発言として「首相が示すのはイメージ管理のための方向性だけだ」と辛辣な評価を報じた。PVVのヘルト・ウィルダース党首はこの記事を審議冒頭で取り上げ、「同僚たちに3本の短剣を背中に刺された」と皮肉を込めて首相を揺さぶった。
税負担と採決の行方
審議の焦点の一つが、11月中旬に予定される税制案の採決だ。政府の主要諮問機関である国家評議会(Raad van State)は今週、2027年に予定される約60億ユーロの増税のうち、実に58億ユーロが労働者の負担になると指摘した。企業や富裕層への課税負担はむしろ若干軽くなる見通しで、Proは「勤労者への偏った負担」を理由に現行案への反対を明言している。一方、貯蓄・投資課税(いわゆる「ボックス3」)の見直しは来年以降に先送りされた。イェッテン首相はインフラへの追加投資として今後数年で100億ユーロを充てると表明し、Proに対しては窒素排出削減目標を維持することも約束したが、具体的な政策の折り合いはいまだついていない。連立政権は議会150議席中66議席にとどまり、上院での過半数確保には16票の上乗せが必要な状況で、今後の交渉余地は極めて限られている。
在蘭日本人にとっても、予算審議の行方は無縁ではない。税制変更や社会保障の見直しが議論されるなか、労働者への課税強化が現実となれば、オランダで働く外国人にも影響が及ぶ可能性がある。秋の審議を通じて政権が安定した支持基盤を確保できるか、引き続き注目が必要だ。
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情報源: DutchNews




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