不登校の息子が「いない方がいい」と打ち明けるまで——ある家族の記録
学校への苦悩が子どもの心を追い詰める、オランダの深刻な現実
毎朝、戦いのように始まる一日があった。ベネコム在住のマールチェ・デ・フリースさんの息子は、学校へ行くことを頑なに拒んだ。泣きじゃくる息子を抱えるようにして教室へ連れて行く日々が、何年も続いた。母親として「行かせなければ」という責任感と、「なぜこんなにつらそうなのか」という疑問の間で、マールチェさんは長い間揺れ続けた。
告白までの長い年月
転機が訪れたのは、息子が成長してからのことだ。彼は両親にこう打ち明けた——「もう生きていたくないと思うことがあった」と。毎朝教室へ引きずられていったあの少年が、内心でそれほど深く追い詰められていたという事実は、家族に大きな衝撃を与えた。登校拒否は単なる「わがまま」や「怠け」ではなく、子どもの心が発していたSOSだったのだ。学校という場が、すべての子どもにとって安全な空間であるとは限らない。そのことを、この家族は痛切に学んだ。
オランダ社会が直面する子どものメンタルヘルス問題
オランダでは近年、子どもや青少年の精神的健康をめぐる問題が社会的な議論を呼んでいる。登校拒否(schoolverzuim)や学校での精神的苦痛を訴える子どもの数は増加傾向にあり、支援機関への相談件数も年々増え続けているという。学校側や行政が早期に対応できるかどうかが、その後の子どもの人生に大きく影響することも指摘されている。マールチェさんの息子のケースのように、問題が表面化するまでに数年を要するケースは少なくなく、家族だけが孤立したまま抱え込んでしまう構造的な課題も浮き彫りになっている。
在蘭日本人家庭にとっての示唆
言語や文化の壁を越えて異国で暮らす在蘭日本人の子どもたちにとっても、学校生活のプレッシャーは決して他人事ではない。オランダ語の習得、現地の人間関係、教育スタイルの違いなど、日本の学校環境とは異なる文脈でのストレスにさらされる場面は多い。子どもが「学校へ行きたくない」と訴えたとき、その言葉の背景に何があるのかを丁寧に受け止めることが求められる。困ったときは担任やhuisarts(かかりつけ医)への相談を早めに検討したい。マールチェさん一家の経験は、サインを見逃さないことの大切さを静かに、しかし力強く伝えている。
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情報源: AD


