Z世代の記者、修道院で4日間――静寂と祈りの中に何を見たか
ティルブルフ近郊のトラピスト修道院が問いかけるもの
スマートフォンの通知音も、SNSのタイムラインも存在しない空間で、4日間をどう過ごすか――NRCの記者ヒューゴ・スヒファースは、その問いへの答えを求めてティルブルフ近郊にあるトラピスト修道院の門をくぐった。修道士たちの日課に沿い、早朝の祈りから夜の沈黙まで、共同生活のすべてに身を置くという体験だ。NRCが日曜日の「オーディオストーリー」枠で配信したこのレポートは、若い世代と宗教的共同体という一見かけ離れた組み合わせを正面から取り上げている。
「兄弟は自分では選べない」
トラピスト会(シトー会厳律修道会)は、沈黙・労働・祈りを柱とする修道生活で知られる。ベルギー産のトラピストビールが有名なため、その名を知るオランダ在住者も少なくないだろう。しかし修道院内の日々のリズムは、外の世界とは根本的に異なる時間軸で動いている。スヒファースのレポートの中で特に印象的なフレーズとして紹介されているのが、「兄弟は自分では選べない」という言葉だ。現代社会では友人も職場も居住地も「自分でキュレートする」ことが当たり前になっているが、修道院ではその選択の自由が根本から問い直される。与えられた共同体の中でどう生きるか、という問いは、Z世代が日常的に感じる孤独や断絶感ともどこかで共鳴する。
Z世代はなぜ「静寂」に惹かれるのか
近年、欧州では若い世代の間でマインドフルネスや「デジタルデトックス」への関心が高まっており、修道院への短期滞在プログラムを提供する施設も増えている。常時接続のプレッシャーにさらされてきたZ世代にとって、スマートフォンを手放し、決まったリズムの中で生活するという体験は、一種の解放として機能し得るという見方がある。スヒファースが4日間という比較的短い期間を選んだのも、「試してみる」という感覚に近い現代的なアプローチといえるかもしれない。修道士の側にとっても、外からの訪問者を受け入れることは閉じた共同体に外の空気をもたらす契機になる。
在蘭日本人にとっての視点
宗教的な文脈を離れても、このレポートが示すテーマ――共同体・沈黙・選べない関係性の中での生き方――は、異国で暮らす日本人にとっても響くものがあるだろう。オランダでは修道院の短期滞在(いわゆる「クロスター体験」)を受け付けている施設がいくつか存在しており、宗教を問わず一般の訪問者を受け入れているケースも多い。日常の喧騒から離れ、自分の時間を問い直したいと感じる機会があれば、こうした施設への滞在は一つの選択肢となり得る。スヒファースのオーディオレポートはNRCのポッドキャストページで聴くことができ、オランダ語の聴き取り練習としても興味深い素材だ。
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情報源: NRC


