記録的猛暑の夏が過ぎても、オランダ政界から気候変動が消えた
ハーグもEUも沈黙——なぜ政治家たちは動かなかったのか
今年の夏、オランダは記録的な熱波と深刻な干ばつに見舞われた。気温・降水量ともに複数の観測記録が塗り替えられ、農業や自然環境への影響も広く報告された。ところが、猛暑が落ち着いた後のハーグは静まり返ったままだ。緊急の閣僚会議が召集されることも、気候変動を主題とした与野党協議が開かれることもなかった。
「プリンセスダフ」でも気候は脇役
毎年9月の第3火曜日、国王が翌年度の政府方針を読み上げる「プリンセスダフ」は、政権が政策の優先順位を国民に示す最大の舞台だ。しかし今年も、気候問題が重要テーマとして取り上げられる見込みはないとNRCは報じている。長距離フライトへの航空税を引き下げる方向の議論が進むなど、むしろ脱炭素の流れに逆行するような動きすら見られる。政府が示す優先課題のリストから、気候はじわじわと順位を落としているのが現状だ。
NRCのポッドキャストでは、気候担当記者のローザ・ウイテワールとブリュッセル特派員のアノーク・ボーンが、「なぜ今夏、政治家たちは気候議論を活性化させなかったのか」を掘り下げた。二人が指摘するのは、気候変動への関心が単なる政策優先度の問題にとどまらず、ハーグとEUの両レベルで構造的に政治空間から後退しつつあるという点だ。欧州全体でポピュリズム政党が勢力を伸ばし、経済・移民・安全保障といった課題が議論の中心を占める中、気候変動は「緊急ではない問題」として棚上げされやすい状況が続いている。
タタ・スチール問題にも暗雲
国内の個別案件に目を向けると、製鉄大手タタ・スチールのオランダ拠点における脱炭素化交渉も難航している。環境負荷の大きい高炉を段階的にグリーン製造へ転換する計画をめぐり、企業側・政府側双方に懐疑論が広がっており、合意が実現可能かどうか疑問視する声が高まっている。こうした個別案件の停滞は、オランダの気候政策全体の失速感をさらに強める形となっている。
在蘭の日本人にとっても、この問題は無縁ではない。猛暑や洪水リスクへの対策が遅れれば、居住環境やインフラに直接影響が出る可能性がある。また、EUの気候規制は企業活動や輸出入にも連動しており、ビジネスで欧州に関わる人々にとっても政策の方向性は重要な情報だ。記録的な夏を経験しながら政治が動かないという現実は、気候変動対応の難しさを改めて浮き彫りにしている。
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情報源: NRC




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