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首相執務室「小塔」の屋根、478年間ほぼ無補修——1547年製キット工法の傑作
社会 読了 2分

首相執務室「小塔」の屋根、478年間ほぼ無補修——1547年製キット工法の傑作

ローマ数字が刻まれた梁が語る、中世職人の知恵

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デン・ハーグのビネンホフ(国会議事堂複合施設)に立つ首相執務室「トーレンチェ(小塔)」。その尖塔屋根が、1547年にキット工法で建造されたオリジナルのままであることが、政府不動産機関リークスファストゴートベドライフの調査で明らかになった。放送局NOSが木曜日に報じた。

イケアの説明書に相当する、中世職人の知恵

高さ約8メートルの尖塔を構成するオーク材の梁には、ローマ数字が手で刻まれている。これは、梁がどの位置にどの順番で組み合わさるかを示す「組立指示書」の役割を果たしていたものだ。つまり、部材は別の場所の工房であらかじめ加工・番号付けされ、バラした状態で現場へ運び込まれ、その場で組み上げられたと考えられる。NOSはこの仕組みを「現代のイケア家具の説明書と同じ発想」と表現した。梁の断面を見ると手のこぎりによる加工跡が残っており、製材所が普及する以前の時代に典型的な手法であることも確認されている。使われた木材は1546年ごろ南スウェーデンで伐採されたオークで、年輪年代測定によって産地と時期が特定された。

塔自体の歴史はさらに古く、最古の記録は1497年にさかのぼる。現在の姿は、神聖ローマ皇帝カール5世が1547年に全面的に再建した際に尖塔が加えられたものだ。その屋根構造が478年間にわたってほぼ補修を必要とせず現存していたことは、当時の職人技術の高さを物語っている。

石綿調査が生んだ歴史的発見

この屋根構造が「再発見」されたのは偶然の産物だった。ビネンホフでは2021年から大規模な改修工事が進められており、昨年、石綿の有無を確認するために天井が開けられた。その際に、長年にわたって隠れていた木組みの全貌が姿を現した。石綿自体は実際に検出されたものの、同時に中世の職人技という思いがけない「宝」も発掘された形だ。今年に入っては、同じビネンホフの敷地内で14世紀初頭の城門遺構も発見されており、改修工事が歴史的発見の連続をもたらしている。

膨らむ改修費用、完成は2031年へ

一方で、ビネンホフ全体の改修プロジェクトは当初の計画を大きく逸脱している。2021年の着工時点では工期5年・費用4億7500万ユーロと見込まれていたが、現在の試算では費用は27億ユーロ以上に膨らみ、完成時期も2031年まで延期されている。オランダ在住の日本人にとって、トーレンチェは首相の動静とともにオランダ政治の象徴として馴染み深い建物だ。修復工事の長期化と費用増大はオランダ国内でも議論を呼んでいるが、今回の発見は、工事が単なる「修繕」にとどまらず、国家の歴史を掘り起こす営みでもあることを改めて示している。

情報源: DutchNews

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