オランダの図書館が復調——会員数・拠点数ともに増加、若者層も呼び戻す
読書離れが叫ばれる中、図書館は「地域の居間」として存在感を高める
若者の読解力低下が社会問題として取り上げられるなか、オランダの図書館は逆風をよそに利用者を増やしている。国立図書館(KB)と統計局(CBS)が発表したデータによると、2025年の18〜30歳の会員数は前年比で約2割以上増加した。子どもの会員数も伸び、現在オランダ全国で図書館の定期会員を持つ人は計380万人にのぼる。
拠点数は2014年以来の最多水準に
全国の図書館拠点数は2025年に35館増加し、合計1,283館となった。これは、緊縮財政のあおりを受けて閉館が相次いだ2014年以来最も多い数字だ。近年、政府が図書館設備への追加資金を複数回にわたって拠出したことで、新規開設や既存館のリノベーションが可能になったという。オランダ公共図書館協会のクラース・グラーフスタイン館長は、2015年に制定された図書館法によって図書館の役割と責務が明確に規定されたことも後押しになったと指摘し、「投資と法整備のおかげで図書館は上昇軌道を取り戻した」と述べている。
KBは各地の館を「誰でも無料で立ち寄れる、地域の公共の居間」と位置づけており、会員証なしでも気軽に入れる開かれた空間づくりを進めている。また、76%の図書館が18歳以上に割引または無料の会員資格を提供しており、これも新規会員の増加に寄与していると報告書は分析する。18歳未満の子どもはもともと無料で会員になれる。
本の貸し出しを超えた「社会インフラ」へ
図書館の役割は本の貸し出しにとどまらない。多くの館では、デジタル行政手続き・家計相談・市民統合(inburgering)などに関する情報窓口を設けており、こうしたサービスを通じて2025年に図書館と接点を持った人は36万人以上に達した。さらに読書クラブや討論会から年間40万件以上のイベントが開催され、AIや市民権をテーマにしたワークショップも人気を集めている。
教育担当のティーレン国務長官は、PISAレポートで示された読解力低下の数字に懸念を示しつつ、「図書館が好調なのは良いニュースだ。言語はあらゆることの土台であり、図書館は子どもも大人も読む楽しさと読解力を伸ばせる場所だ」とコメントした。
オンラインサービスも急成長している。スマートフォンや電子書籍リーダーで利用できるオンライン図書館は、2025年に10%超拡大して76万3,000タイトルを誇る規模になった。KBのロナルド・ハウザー氏は「読書はとっくに紙だけのものではなくなった。利用者が自分に合った方法を選べることが重要だ」と話している。物理的な蔵書も2,290万冊を維持しており、学校図書館向けの「Bibliotheek op school」では2025年の貸出数が7%増の850万冊に達した。
在蘭日本人にとっても、図書館は日常の情報収集や行政手続きのサポートを受けられる身近な拠点になりうる。無料または割引の会員資格を活用しながら、地域の図書館が提供する多様なプログラムに参加してみる価値は十分にありそうだ。
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情報源: NOS Algemeen


