「持続可能」バイオマスの裏に潜む森林破壊——RWEへの警察捜査が示す補助金制度の盲点
マレーシア産木質ペレットの不正認定疑惑と、崩れかけた「グリーン」エネルギーの根拠
マレーシアの熱帯雨林では、チェーンソーが数十年生の大木を切り倒す光景が日常となっている。過去20年でマレーシアの原生林の約3分の1が失われた。この森林破壊と、オランダの「グリーン」エネルギー政策が結びついているという衝撃的な実態を、NRCが情報公開法(Woo)に基づいて入手した内部文書が明らかにした。オランダのエネルギー大手RWEが、マレーシア産の木質ペレットをアメル発電所とエームス発電所で燃やす見返りに政府から多額の補助金を受け取ってきたが、その「持続可能性」認定に深刻な疑問が浮上している。警察と食品・消費者製品安全局(NVWA)は現在、正式な捜査を進めている。
「廃材」と偽れば審査が免除される制度の抜け穴
問題の核心は、バイオマス補助金制度の設計にある。通常、発電所が「持続可能な」バイオマスとして補助金を受け取るには、皆伐が行われていないことや絶滅危惧種の保護が担保されていることを証明しなければならない。しかしRWEが調達しているマレーシア産ペレットは「廃材(カテゴリー5)」として分類されており、このカテゴリーには持続可能性の審査がほぼ適用されない。カテゴリー5の木材は、伐採地から直接持ち込まれたものであっても「常に持続可能」とみなされるのだ。
RWEの主要なペレット供給業者であるRainbow Pelletは、97件の「自己申告書」によって廃材であることを証明している。これらは供給業者が「翌年に納入する木材は100パーセント廃材および再生材である」と事前に宣言する書類に過ぎず、第三者による実地確認は行われない。NRCの報道によれば、この97件のうち40件が同じ日付、2023年1月1日付で署名されていた。コピー&ペーストで作成されたとみられるこれらの書類が、数億ユーロ規模の補助金を支える根拠となっていた。
監督機関Neaが把握していた「不正」の実態
オランダ排出権監督機関(Nea)は独自調査を実施し、一部の木材が不正に廃材と申告されていたことを確認した。Rainbow Pelletの4社の取引記録を精査した結果、調査対象の3.5パーセントの木材が、伐採地から直接持ち込まれた丸太や割り材であり、廃材として計上することは認められないものだと判明した。しかしNeaは残り93社の調査を行わず、現地での実地検証も「ほとんど付加価値がない」として見送り、「問題は限定的」と結論付けた。
Neaのディレクター、マルク・ブレッサーズ氏は内部メールで、廃材区分に「歪んだインセンティブ」が生じうると認識していた。それでも監督機関は制度の抜け穴を塞がないまま、「持続可能」のスタンプを押し続けた。マレーシアの森林生態学者バドルル・アザール氏(プトラ・マレーシア大学)はNRCに対し「自然保護は最後の優先事項」と述べ、現地の監督体制の実態を証言している。
在蘭日本人にとっての意味
この問題は、オランダのエネルギー転換政策そのものへの信頼を問い直すものだ。政府が「グリーン」として投じてきた補助金の総額は当初24億ユーロが見込まれており、実際の支払額は市場価格などにより変動したが、RWEだけで過去8年間に数億ユーロ規模に上ると推定される。気候変動対策の名のもとで熱帯雨林の破壊が進む逆説は、今後のオランダの再生可能エネルギー政策の見直しにも影響を与えるとみられる。電気料金や環境税の形で社会全体が負担してきた「グリーン」補助金の実態が、改めて問われることになりそうだ。
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情報源: NRC


