コロナ調査委員会、元厚生相クイパース氏を最終週に尋問
「パンデミック下の統治」をテーマに、政策立案の舞台裏を問う
オランダ議会のコロナ調査委員会が、9週間にわたる尋問の最終週を迎えた。テーマは「振り返りと展望――パンデミック下の統治」。最終盤に招致されたのは、医療現場と政策の両面でコロナ対応の中枢に立ち続けたエルンスト・クイパース元衛生・厚生・スポーツ相だ。水曜日の午前中に委員会へ出頭し、パンデミック期の意思決定について証言した。
「病床の支配者」から閣僚へ
クイパース氏はパンデミック発生当初の2020年、ロッテルダムのエラスムスMC病院の経営者(兼消化器内科医)であると同時に、全国急性期医療ネットワーク(LNAZ)の議長を務めていた。彼が設立した全国患者分散調整センター(LCPS)は、コロナ禍においてICU病床への患者振り分けを一元的に管理し、医療崩壊を防ぐ要となった。ICU病床数の確保に執心したことから「ベッドの支配者(beddenbaas)」とも呼ばれるようになった。
キャスハウス(首相官邸)でのマルク・ルッテ首相との協議では、集中治療の専門家ディデリク・ホメルス氏、オランダ集中治療学会、そしてRIVM(国立公衆衛生環境研究所)所長ヤープ・ファン・ディッセル氏とともに、クイパース氏はコロナ政策の実質的な形成に深く関与した。専門家の立場から政府の対応を繰り返し批判し、内閣が実際に措置を講じる数週間前から対策強化を求め続けた。ワクチン接種も「もっとはるかに速く進めるべきだった」と主張し、感染波が到来してから動くのではなく、事前の準備こそが重要だと訴えた。
大臣就任と「社会全体で担う責任」
2022年1月、クイパース氏はD66党の大臣としてルッテ第4次内閣の厚生相に就任し、専門家の立場から政策執行の責任者へと役割を転換した。就任当初はコロナ規制の緩和フェーズにあり、学校再開や飲食店・コンサートホールの制限撤廃が相次いだ。NRCのインタビューでクイパース氏は「以前の役割では病院と病床数に特化していたが、今は俯瞰的な立場で、他者に任せる部分が多い」と述べ、視点の変化を率直に語った。
同時に、秋以降の新たな感染波に備えて通常医療が再び中断されないよう腐心した。その際、クイパース氏が強調したのは「社会全体の責任感」だった。「もう大臣が一方的に措置を指示する時代ではない。ウイルス対策の責任は社会全体のものだ。内閣や厚生相だけの問題であってはならない」——そう語った言葉は、パンデミック後の公衆衛生政策の方向性を象徴するものとも受け取れる。
辞任と委員会招致の意味
2024年1月、就任からちょうど2年後、クイパース氏はシンガポールの大学への就職を理由に大臣を辞任した。その後、デルフト工科大学(TU Delft)監事会の議長に就任し、現在に至る。今回の委員会への招致は、病院経営者・専門家・政治家という三つの顔を持つ同氏が、それぞれの局面でどのような判断を下したのかを公式記録として残す機会となる。
調査委員会の活動はオランダ社会にとって、次のパンデミックへの備えを制度的に問い直す場でもある。在蘭日本人にとっても、医療体制や緊急時の意思決定の透明性が今後どのように整備されるかは、生活に直結するテーマだ。委員会の最終報告書がどのような提言を示すか、引き続き注目が集まっている。
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情報源: NRC




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