RIVM新庁舎、電力網の混雑でガス発電機が必要に――移転は今年中も不可能
完全再生可能エネルギー設計の新ビルが、皮肉にも化石燃料頼みの緊急対応を迫られる
オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)のユトレヒト新庁舎が、また移転延期を余儀なくされた。今年4月にようやく建物が引き渡されたばかりだったが、電力網の混雑という新たな障壁が浮上し、安定した電力供給を確保するためにガス発電機の設置が必要になった。完全再生可能エネルギーを前提に設計された施設がガス発電機を必要とするという、設計思想との皮肉な矛盾が生じている。
2018年完成予定が今も実現せず――積み重なる遅延と費用超過
RIVMの新庁舎をめぐる議論は2011年にさかのぼる。現在も拠点を置くビルトホーフェンの施設は老朽化しており、改修より新築のほうが効率的との判断から、ユトレヒト・サイエンスパークへの移転が決定された。当初の完成予定は2018年だったが、トラム路線の振動が精密な実験機器に悪影響を及ぼす問題や、セキュリティシステムの不具合など次々と問題が発覚。2024年時点で建設費は予算を1億3600万ユーロ超過しており、プロジェクトは深刻なコスト増に直面している。
電力網の「接続停止」が新たな壁に
今回の延期の直接的な原因は、ユトレヒト広域で深刻化する電力網の混雑だ。7月1日から、ユトレヒトおよびその周辺地域では新規電力接続の申請が停止されており、新たに接続を求める施設はウェイティングリストに登録するしかない状況となっている。RIVMの運営担当ディレクター、シッコ・ラウ氏はRTV Utrechtの取材に対し、「完全にサステナブルな建物であるだけに、こうした事態は想定していなかった。ネットワークの混雑が解消されるまでの一時的な措置であってほしい」と語った。
ガス発電機に加え、大型バッテリーシステムの導入も予定されているが、こちらは納入に想定以上の時間がかかっているという。ラウ氏は職員向けの通知で、建物がすべての要件を満たす時期は現時点では不明としつつ、「今年中に移転を開始することは確実にできない」と明言した。同様の問題はユトレヒト中央駅近くの旧ラボバンク本社ビルの再開発でも起きており、大規模な新築・改修プロジェクトが軒並み電力インフラの壁に突き当たっている構図が浮かび上がる。
在蘭日本人にとっての示唆
今回のケースは、オランダが国を挙げて推進するエネルギー転換の現実的な限界を示している。グリーン設計の建物であっても、送電網の整備が追いつかなければ化石燃料への一時回帰を余儀なくされる。こうした電力接続の停止措置はユトレヒト固有の問題ではなく、アムステルダムやロッテルダムなど主要都市でも同様の事例が報告されている。オフィス移転や新規事業の立ち上げを検討している在蘭日本人にとっても、電力接続の可否が事業計画に直結するリスクとして認識しておく必要がある。ラウ氏は「一刻も早く移転したい気持ちでいっぱいだ」と話しており、関係者の焦りをよそに、インフラ整備の遅れはしばらく続きそうだ。
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情報源: NOS Algemeen


