鉄分不足:重い生理に、食事だけでは追いつかない理由
脱毛・ブレインフォグ・慢性疲労——気づかれにくい女性の鉄欠乏を科学的に読み解く
抜け毛が増えた、頭がぼんやりする、いくら寝ても疲れが取れない——そうした不調を「なんとなく体質のせい」と片づけてきた女性は少なくないだろう。しかし、その背景に鉄分不足が潜んでいる可能性は、思いのほか高い。オランダの有力紙NRCのポッドキャストが、この見落とされがちな問題を正面から取り上げた。
生理がある女性は、慢性的な「鉄の赤字」を抱えやすい
科学ジャーナリストのアンネ・ファン・ケッセルは、女性における低鉄分の実態を長期にわたって取材してきた。ポッドキャストでは、プレゼンターのカーレイン・サーリスとペーター・ファン・デル・プルークとともに、鉄欠乏がなぜ見逃されやすいかを丁寧に解きほぐしている。
特に焦点が当たるのは、月経量が多い女性のケースだ。毎月の出血によって失われる鉄は相当量にのぼり、食事から摂取できる量では補いきれないことがある。問題は鉄分不足の症状が「疲れやすい」「やる気が出ない」といった曖昧なものが多く、貧血と診断されるほど深刻化するまで気づかれにくい点にある。
「ヘモグロビンだけ見ていては不十分」——フェリチン値の重要性
血液検査で鉄の状態を確認する際、一般的に測定されるのはヘモグロビン(Hb)値だ。しかし、ファン・ケッセルが指摘するのは、フェリチン値(体内の鉄貯蔵量の指標)を合わせて確認することの重要性だ。ヘモグロビンが正常範囲内であっても、フェリチンが低い場合には鉄の貯蔵が枯渇しており、倦怠感や集中力低下といった症状が現れることがある。
「貧血ではない」と言われても不調が続く場合、このフェリチン値が見落とされている可能性がある。かかりつけ医に相談する際は、Hb値だけでなくフェリチンの測定も明示的に依頼することが有益かもしれない。
全粒パンを何枚食べれば足りるのか——食事による補給の限界
ポッドキャストでは、日常の食事からどれだけ鉄を摂れるかという実践的な疑問にも踏み込んでいる。全粒粉パン(volkoren brood)は鉄分を含む食品として知られているが、必要量を食事だけで賄うには現実的でない枚数が必要になる場合もあることが示唆されており、補給の難しさが浮き彫りになっている。
植物性食品に含まれる非ヘム鉄は、肉類の動物性(ヘム)鉄と比べて体内への吸収率が低い。また、コーヒーやお茶に含まれるタンニン、あるいは食物繊維が鉄の吸収を妨げることもある。ビタミンCを一緒に摂ると吸収が促されるという知識は広まっているものの、それだけで鉄不足を解消できるわけではない。
オランダに暮らす女性にとっての示唆
オランダでは食生活においてパンや乳製品への依存度が高く、赤身肉の摂取が少ない食習慣を持つ人も多い。日本人女性も含め、海外生活の中で食事内容が変化すると、気づかないうちに鉄の摂取量が落ちているケースも考えられる。
体の不調が長引いていると感じたら、まずかかりつけのhuisarts(家庭医)に相談し、血液検査を依頼することが第一歩となる。その際にフェリチン値の測定を求めることで、より正確な状態把握につながるだろう。
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情報源: NRC


