ナチス略奪のグードスティッカー絵画、ナチス高官の娘が返還に合意
アルゼンチンの不動産サイト掲載写真から発見、80年越しの返還劇
アムステルダムの著名な美術商ヤック・グードスティッカーのコレクションから第二次世界大戦中に略奪された絵画「貴婦人の肖像」が、80年以上の時を経てついに正当な相続人のもとへ戻ることになった。アルゼンチンのマル・デル・プラタにある連邦裁判所が今月、和解協定を承認したと現地メディアが報じている。
不動産サイトの写真が決め手に
この絵画が世に知られるきっかけとなったのは、2025年8月のことだ。オランダの日刊紙ADの記者たちが、カドギエン家のゆかりを調べるなかで、アルゼンチンの不動産仲介サイトに掲載された邸宅の売却写真に目を留めた。ソファの上に何気なく飾られた絵画が、かつてグードスティッカーのコレクション目録に記録された作品と一致したのである。当局が家宅捜索に踏み切った時点では絵画はすでに移動されており、馬のタペストリーに替わっていた。しかし夫妻は1週間後に作品を検察当局へ引き渡し、その後も家宅監禁下に置かれていた。
和解によって、所有者のパトリシア・カドギエンと夫フアン・カルロス・コルテゴソは、隠匿に関する裁判を回避することとなった。その条件として、2人はそれぞれ240万ペソ(約1,400ユーロ)を地元の母子病院に寄付しなければならない。
ゲーリングの財務顧問を父に持つ家系
パトリシアの父、フリードリヒ・カドギエンはナチス・ドイツの実力者ヘルマン・ゲーリングの財務顧問を務めた人物だ。戦後、訴追を逃れるためにアルゼンチンへ亡命し、1978年に現地で死去した。生涯、法的責任を問われることはなかった。絵画がどのような経緯で彼の手に渡り、娘へと受け継がれたのかは、今も完全には解明されていない。
なお、グードスティッカーが目録にジュゼッペ・ギスランディの作と記録していたこの肖像画について、アルゼンチン国立美術アカデミーによる鑑定の結果、実際の作者は同じ18世紀イタリアの画家ジャコモ・チェルーティであるとの結論が出た。専門家による評価額は約29万ドルとされている。
数十年にわたる返還の歴史
グードスティッカーは1940年5月、ドイツ軍のオランダ侵攻を逃れて乗船した船の船倉に転落し、命を落とした。彼のコレクション約1,100点はゲーリングら上層部のナチス幹部たちに強制的に売却された。オランダ政府は2006年に202点を遺族へ返還しており、グードスティッカーの義理の娘で唯一の相続人であるマレイ・フォン・ザーがその受け取り手となった。今回の「貴婦人の肖像」もフォン・ザーのもとへ引き渡される予定で、彼女の弁護士によれば、返還前にアルゼンチン国内で一般公開される見通しだという。
略奪美術品の返還問題はオランダにとって長年の課題であり、今回の件はジャーナリズムと国際的な司法協力が連携した成果として注目されている。在蘭の美術・歴史愛好家にとっても、グードスティッカーの名が改めて記憶に刻まれる出来事となった。
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情報源: DutchNews


