デモでの顔隠し禁止法案、官僚・警察・検察の総反対で事実上の棚上げへ
情報公開文書が明かす「不吉かつ逆効果」な政策の2年間
2024年春、アムステルダム大学(UvA)のキャンパスにパレスチナ連帯を訴える学生たちがテントを張った。警察がその場を強制排除し、その後も各校舎の占拠と退去が繰り返された混乱の中で、カフィーヤで顔を覆った参加者がアンモニアを警察官に投げつけたにもかかわらず、逮捕されないという事案が発生した。この出来事がファン・ウェール法務大臣(VVD)を突き動かし、デモにおける顔隠し服装の一律禁止という政策立案へと向かわせた。
全方位からの反対、それでも固執した2年間
2024年9月の総選挙後に発足したスホーフ内閣のもと、JA21のエールダマンス議員とSGPのストッフェル議員が共同提出した動議が議会を通過し、ファン・ウェール大臣は「公衆示威集会法(Wom)」の改正に向けた検討を指示された。しかし、NRCが情報公開法(Woo)に基づいて両省から入手した文書は、この法案が当初から四面楚歌の状態にあったことを克明に記録している。
省内の協議に応じた警察と検察庁(OM)は、一律禁止を「不必要」かつ「警察とデモ参加者の間の緊張を高めるだけ」と評した。検察庁は「違反者を訴追することは適切でない」と明言し、裁判所が憲法や欧州人権条約(ECHR)に照らして審査すれば禁止が覆される可能性が高いとも指摘した。ある司法省職員はメールで同僚にこう漏らしている——「議会がそれを望んでいると思い込んでいるのだ」。省内の上位職員に至っては、この計画を「onzalig en contraproductief(不吉かつ逆効果)」と断じた。市長・安全保障地域・国王弁務官のいずれも反対に回り、禁止令は「実施不可能」であり「警察と司法の能力を著しく圧迫する」との見解を示した。
それでも大臣は約2年間にわたってこの方針に固執した。並行して省は、法律家ではなく世論調査会社「MWM2」に対し、デモに関する国民感情を探る調査を発注。費用は税抜き1万3,203ユーロで、「オランダ人は何を考えているか」パネルを通じて実施された。
憲法上の壁とWODCの批判が法案を葬る
デモ権がいかに堅固な法的保護を受けているかも、この議論の核心にある。オランダ憲法および欧州人権条約は締約国に対し、デモを積極的に保護・促進する義務を課している。顔を覆うことには宗教的信条や、権威主義的政権による報復を恐れる事情が絡む場合もあり、一律禁止の合憲性は当初から疑問視されていた。
法務省の研究機関WODCが法案を正式に評価したところ、その批判は辛辣なものとなった。この結果を受け、大臣とヘールマ内務大臣(CDA)が議会に送った最新の書簡では、顔隠し禁止についての記述がほぼ消えていた。2025年9月に議会で行われた審議も、法案の「残骸」を確認するだけのものになったと報じられている。
オランダに暮らす外国籍住民を含む多くの人にとって、この一件はデモという基本的権利と治安維持の緊張関係を改めて浮き彫りにした。表現の自由や集会の権利は、政治的圧力だけでは簡単に制限できないことを、司法・行政の専門家たちが体を張って示した格好だ。「議会が望んでいる」という政治的論理だけでは、憲法の壁は越えられなかった。
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情報源: NRC




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