首相へのホモフォビア投稿、公務員も関与とAD調査が明らかに
4万6千件の返信を分析、5%が同性愛嫌悪的な内容と判明
オランダのロブ・イェテン首相が、ソーシャルメディアX(旧Twitter)上で日常的に同性愛嫌悪(ホモフォビア)的な投稿にさらされている実態が、大手紙アルヘメーン・ダーフブラット(AD)の調査によって明らかになった。分析対象となったのは、首相就任後の最初の6か月間に公式アカウントから発信された323件の投稿への返信、計4万5,860件。そのうちホモフォビア的な内容と判定されたのは2,293件で、全体の約5%、すなわち20件に1件の割合にのぼる。
公務員も投稿者に——匿名のトロルだけではない現実
ADが特筆しているのは、こうした投稿が必ずしも匿名アカウントによるものではないという点だ。分析の結果、地方議会の職員、警察職員、そしてオランダ空軍員が投稿者に含まれていたことが確認された。また、投稿の大多数は一度きりの書き込みであり、最も活発な10アカウントの投稿数を合計しても、全体の6%に満たないという。つまり、特定の「過激なユーザー」が中心というよりも、広範な層から散発的に投稿されているという構図が見えてくる。
投稿の内容は二つのパターンに集約される。一つは露骨な侮辱語。もう一つは、はるかに多用されている「自分がゲイだと伝えたか?」という一文で、女王マクシマへの祝辞やアムステルダム・プライドに関する投稿など、話題を問わず首相のあらゆる発言の下に繰り返し書き込まれていた。
法的対応の難しさと公務員への規律問題
ライデン大学刑事法のマルローズ・ファン・ノールロース教授は、ADの取材に対し、「示唆的な一文」はヘイトスピーチや侮辱罪として立件することが難しいと指摘する。文言や文脈に大きく左右されるためで、現行法の限界が改めて浮き彫りになった形だ。一方で、公務員については公務員規定に基づく懲戒処分の可能性があるとも述べており、法的立件とは別のルートでの対応が検討されうる。
Xのプラットフォーム自体にも課題がある。同社の利用規約は性的指向を理由とした攻撃を禁じているが、ADによれば実際の対応はほとんど取られていない。イェテン首相は先月開催されたWorldPrideの場で、大手SNS企業が「ヘイトスピーチへのコンテンツモデレーションをほぼ行っていない」と公然と批判した。
オランダのLGBTQI+権利の現在地
オランダ初の公表ゲイ首相であるイェテン氏は、自身の性的指向に絡む誹謗中傷について毎週警察に被害届を提出していると明かしている。これほどの頻度での届け出は、問題の深刻さを端的に示している。
かつてLGBTQI+権利の先進国として世界をリードしたオランダだが、2018年以降は国際ランキングで13位に後退。首相自身も「トップ10に返り咲く必要がある」と訴えており、今回の調査結果はその言葉に重みを加えるものとなった。在蘭日本人にとっても、多様性と寛容を標榜してきたこの国の社会的変容を示す出来事として、注目に値するだろう。
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情報源: DutchNews


