オランダの遊泳水質が10年で大幅悪化―化学物質汚染、泳者に知らされず
EU水枠組指令違反を2027年に指摘される可能性も浮上
オランダの遊泳水質をめぐり、憂慮すべき実態が明らかになった。環境団体Natuur & MilieuとオランダNIOO-KNAWの共同調査によると、2015年から2024年にかけて国内の遊泳場所を対象に122種類の化学物質を分析した結果、35種類が基準値を超えて検出された。とりわけ2024年には基準を満たす水域がゼロとなり、10年前に22%の水域が化学基準をクリアしていた状況と比べ、大幅な悪化が確認された。
何が検出されているのか
頻繁に検出される物質の一つが、犬用ノミ取り首輪にも含まれる殺虫剤成分イミダクロプリドだ。その他にもPFAS(フッ素化合物)が複数の地点で確認されている。Natuur & MilieuのKoenraad Backersによると、農村部では農業由来の農薬が多く、都市部では交通や産業由来の物質が目立つという。PFASのように分解されにくい物質は、すでに使用が禁じられていても水中に残留し続けるケースもある。
こうした汚染の経路は、おおむね特定可能だとされる。PAH(多環芳香族炭化水素)は交通・産業の燃焼由来、農薬は農業地帯からの流出が主因とみられる。一方、薬剤残留物やPFASは下水処理施設を経由して表層水に流れ込んでいる。また、産業排水の許可基準が古いままで、水系が受け入れられる負荷量に見合っていない事例もあるという。
公式評価に化学物質が含まれない構造的問題
現行の公式遊泳水質評価は、主にE.コリなどのバクテリアと藍藻(ブルーグリーンアルゴ)を対象としており、急性の健康リスクは把握できても、化学物質の慢性的影響は反映されていない。Backersは「当局は化学物質の測定を行っているが、それを報告する義務がない。しかしEU水枠組指令(KRW)の下では基準値以内に抑える義務がある」と指摘し、現状はすでに違反状態にあり、2027年にEUから正式に違反を指摘される見通しだと述べた。
研究者たちは、化学物質汚染が直ちに健康被害を引き起こすとは断定できないとしながらも、長期的にはがんや免疫系・ホルモン系への影響が懸念される物質が含まれると説明する。「不安をあおりたいわけではない。ただ、泳者は水質の全体像について、より適切な情報を得る権利がある」とBackersは強調した。
オランダ在住者への影響
夏場に湖や川での水泳を楽しむ習慣が根づいているオランダでは、公式な「遊泳禁止」表示がなくても化学汚染が進んでいる可能性がある。研究チームは、化学物質を遊泳水質の定期評価に組み込むことと、汚染源の特定・排除に向けた行政の積極的な取り組みを求めている。制度改正や情報公開の進捗は、在蘭日本人を含む多くの利用者が直接的な恩恵を受けうる問題であり、今後の動向が注目される。
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情報源: NOS Algemeen


