学校のPC提供義務、現場では機能せず――広がる教育格差の実態
「無償化には4〜6億ユーロ」と教育省が難色、全国統一の解決策は見えず
オランダの中学校では、授業でノートPCを使う学校が急速に増えている。法律上、保護者が費用を払えない場合は学校が貸し出しPCなどの代替手段を用意する義務があるが、実態はその義務が十分に果たされていないケースが各地で報告されている。支援の遅れが生徒の学習機会を直接損なっているとして、複数の支援団体が全国統一の解決策を求める声を上げている。
数ヶ月待たされる子どもたち、支援の現場から
社会福祉士のイザベル・ハマーさんは、家庭のPC申請を日常的に手伝っている立場から「これがどれほどのストレスになるか、間近で見ている」と話す。ある学校では、生徒にタブレットが貸し出されたのが申請から数ヶ月後だったという。「そうなれば、その子はすぐに授業に遅れてしまう」とハマーさんは語る。
学校は保護者に任意の費用負担を求めることができるが、払えない・払わない場合でも、学校には代替手段を用意する法的義務がある。しかし実際には、自治体や学校によって支援の仕組みがまちまちで、どの程度の問題が起きているかの全国的な把握すらできていない状態だ。支援財団Leergeld Nederlandは昨年約2万2,000世帯にPCを支援したが、同財団の広報担当者は「現状は地域ごとの場当たり的な対応に過ぎず、全国的な解決策が必要だ」と訴える。
貸し出しPCが「役に立たない」、支援の質も問題に
生徒組合LAKSには、貸し出されたPCで学校の専用ソフトウェアが正常に動作しないという報告が相次いでいる。また、放課後に学校のメディアライブラリーでしかPCを使えない生徒が、ライブラリーの閉館後に作業できなくなるといった問題も起きている。
保護者支援団体「Ouders en Onderwijs」のロブケ・フラミングさんは、学校が親をすぐにArmoedfonds(貧困基金)やLeergeldに丸投げする傾向を問題視する。「親に手を差し伸べさせるよう強いることになり、それが恥ずかしさとなって支援を求めることへの壁になる。結果的に、無理をしてでも自分でPCを買ってしまう親が多い」と指摘する。Armoedfondsも「PCは学校参加の基本条件であり、子どもたちが保護者や自治体、基金の支援次第でしか学習機会を得られない現状は、教育の不平等につながる」として問題を訴えている。
無償化には「4〜6億ユーロ」、教育省は制度改正を見送り
今年6月、オランダ下院は無償教科書法(Wet Gratis Schoolboeken)にノートPCを組み込む修正動議を可決した。しかし教育・文化・科学省のティーレン国務長官はこれを当面は実施しない方針を示している。「無償というのは実際には存在しない。つまり4〜6億ユーロを支出することになり、非常に高額だ」と述べ、既存の支援制度で対応できるとの立場を示した。
一方、教育監督機関(Inspectie van het Onderwijs)は学校がルールを守っているかを監視する役割を担うが、PC貸し出しに特化した調査は行っていない。「授業参加に必要な機器は学校が用意しなければならないというルールはあるが、それが守られていないという報告を受けることはあっても、個別には記録していない」と同機関は認めている。
当面は学校が対応の責任を担う形が続く。問題が解決しない場合、保護者は教育監督機関に苦情を申し立てることができるが、制度の抜本的な見直しなしに個別の苦情対応だけで格差が埋まるかどうか、支援団体の懐疑的な見方は変わっていない。在蘭日本人家庭でも、子どもが中学校に通っている場合は学校のPC方針と支援制度の有無を事前に確認しておくことが望ましい。
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情報源: NOS Algemeen




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