医学生が実習枠を数千ユーロで売買――エラスムスMCで広がる「抽選格差」
WhatsAppグループで高額取引、数百人規模の卒業遅延も懸念
ロッテルダムを代表する医療・研究機関エラスムスMCで、医学生たちが臨床実習(コースハップ)の開始枠を巡り、WhatsAppのグループチャットで数千ユーロもの金額を提示し合う事態が明らかになった。NU.nlが報じたこの問題は、オランダの医学教育が抱える構造的な課題を浮き彫りにしている。
抽選「外れ」が卒業の遅れに直結
コースハップとは、医学生が実際の病院や診療所で患者診療を経験する臨床実習のことで、医師免許取得に欠かせない過程だ。エラスムスMCでは、実習の開始時期を抽選で割り当てているが、この抽選で不利な結果を引いた学生は、実習開始まで長期間待たなければならない。その影響で、数百人規模の学生が卒業の遅れを余儀なくされる可能性があるとみられている。
医学部の修業年限はただでさえ長く、実習開始が数カ月後ろにずれるだけで、学生の生活設計や就職計画に大きな打撃を与える。こうした焦りが、金銭による枠の売買という異例の行動につながっている。
WhatsAppに飛び交う「数千ユーロ」の提示
学生たちが利用しているのは、仲間内で作られたWhatsAppの交換グループだ。早期の開始日を持つ学生に対し、数千ユーロを提示して開始日を譲ってほしいと呼びかけるメッセージが飛び交っているという。金銭を渡してでも早く実習を始めたいという切実な事情がある一方で、こうした取引が教育機関の公式な制度を迂回するものであることは言うまでもない。
金銭授受を伴う枠の売買が常態化すれば、経済的に余裕のある学生が有利になるという新たな不公平を生み出しかねない。抽選という「運」による不平等を、今度は「財力」による不平等が上書きするという皮肉な構図だ。
制度への信頼が問われるオランダ医学教育
この問題は、エラスムスMCという一大学の話にとどまらず、オランダの医学教育における実習枠の配分制度そのものの公正さを問い直す契機となっている。在蘭の日本人でオランダの大学や医療機関に関わる人々にとっても、こうした枠配分をめぐる学生間の格差問題は、医療人材の育成環境を考える上で注目すべき動向と言えるだろう。今後、大学側や教育当局がどのような対応を取るかが焦点となる。
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情報源: NU.nl


