地政学的混乱でオランダの利払い費が今後9年で170億ユーロ増加
低金利時代の国債が続々満期へ――「雪だるま式」財政悪化のリスク
世界的な地政学的緊張の高まりを受けて、オランダ政府が支払う国債の利息が急増している。ラボバンクの調査部門「ラボリサーチ」がNOSの依頼に応じて試算したところ、ペルシャ湾岸周辺の紛争などを契機とした金利上昇の影響で、オランダは2026年から2035年にかけて追加で計170億ユーロの利払い費を負担することになると明らかになった。この試算は、内閣が来年度予算案を国家諮問機関「ラード・ファン・スタート」に提出するタイミングと重なり、財政当局に重い課題を突きつけている。
「年間300億ユーロ」が迫る現実
オランダが昨年、資本市場で調達した資金に支払った利息は85億ユーロだった。財務省自身はすでに、2031年には利払い費が約160億ユーロへと倍増すると見込んでいる。さらにラボバンクは、湾岸情勢が緊迫化する以前の金利水準を前提にしても2035年の年間利払い費は約270億ユーロになると計算していたが、ここ数か月の金利上昇を織り込むと約300億ユーロ、GDPの約1.8%相当にまで膨らむと推計する。
金利上昇の背景には、各国政府が債務を適切に返済できるかへの不安と、インフレ再燃への懸念がある。オランダの10年物国債金利は現在**約3.3%**で、5年前の0.2%から大幅に跳ね上がった。比較すれば、ドイツも3%超、フランスは4%超、英国は5%超を支払っており、欧州全体で国債コストが構造的に上昇している。
低金利時代の「負の遺産」が次々と満期を迎える
問題をさらに複雑にするのが、超低金利期に発行した大量の既存国債の借り換えだ。財務省エージェントのデータによると、今後6年間で1%未満の金利で発行した約1,500億ユーロ規模の国債が満期を迎える。これらをすべて現行の高金利水準で借り換えなければならないため、利払い費の上昇は不可避だとラボバンクのエコノミスト、ヒューゴ・エルケン氏は指摘する。
同行のフランク・ファン・エス氏は、この状況を「ハーシェ・オーフェル(leapfrog)効果」と表現する。古い債務を高い金利で借り換えるたびに利払い費が増え、財政の余裕がさらに失われる構造だ。「オランダが利息を払うために借金をしなければならない雪だるま式の状態に陥るリスクは、資本市場金利の上昇によって現実味を帯びてきた」と警告する。
オランダ財政の安定性と、忍び寄る懸念
ただし、現時点でオランダの財政は欧州でも相対的に健全とされる。政府債務の対GDP比(債務残高比率)は2015年の60%超から昨年は44%まで低下しており、国際市場では「安全な投資先」としての評価が維持されている。エルケン氏も「他の欧州諸国と比べてオランダは突出した問題国ではない」と述べる。
しかし中長期では楽観できない。医療費や社会保障関連支出の増加に伴い、債務比率は再び上昇し、CPB(中央計画局)の試算では2034年に50%超に戻る見通しだ。それ自体はEUが定める財政基準(GDP比60%)を下回るが、CPBと欧州委員会はすでに、オランダが長期的にこの基準を超過する可能性があると警告している。
利払い費の増加は、政府が防衛、医療、インフラなどに振り向けられる予算を圧迫する。在蘭日本人にとっても、公共サービスの水準や税制の変化として将来的に影響が波及する可能性があり、オランダ財政の動向は引き続き注視する必要がある。
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情報源: NOS Algemeen


