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温暖化でオランダに新来種が続々——ただし「気候変動だけ」とは言い切れない
社会 読了 3分

温暖化でオランダに新来種が続々——ただし「気候変動だけ」とは言い切れない

鳥類6種・植物17種が定着も、背景には窒素・生息地回復・外来種導入など複合要因

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オランダの自然が静かに変わりつつある。夏が長くなり、冬の寒さが和らぐなかで、かつては南ヨーロッパでしか見られなかった生き物たちが北上し、この地に定着し始めている。だが「どの種が気候変動のせいで来たのか」という問いに答えるのは、思いのほか難しい。

公式リストが存在しない現実

鳥類調査機関ソフォン(Sovon)のアルベルト・デ・ヨング氏が真っ先に挙げるのが、チェッティウグイス(Cetti’s zanger)だ。この小型の歌鳥は1960年代末にオランダで初めて確認されたが、厳冬期に個体数が激減した。2000年代に再び定着を試み、2010年以降は温暖な冬を背景に個体数が急増している。現在はビースボスを中心に西オランダ各地に広がっている。

こうした事例をリスト化する試みはあるが、「気候変動による新来種」の公式な目録はオランダには存在しない。オランダ種登録(Nederlands Soortenregister)を基に作成することは理論上可能だが、昆虫研究センター(EIS)の昆虫学者ロイ・クルーカース氏は「かく乱要因を除外する作業が必要」と指摘する。観察者の増加や分類学の進歩によって、以前から生息していたが記録されていなかった種が「新発見」として報告されるケースも多く、これを「観察者効果」と呼ぶ専門家もいる。ナチュラリス(Naturalis)の海洋生物学者ウィレム・レネマ氏も「潜水調査員が増えたことで、以前から東スヘルデ川にいた種が初めて記録されるようになった」と述べる。

気候以外の要因が「新来種」を生む

さらに複雑なのは、北東方向から「逆に南下してきた」種の存在だ。ツル、オジロワシ、ミサゴといった種は1980年以降にオランダへ定着したが、南方ではなく北方・北東方面からやってきた。これらについて研究者らは「気候変動に逆らって定着した種」と表現し、生息地回復や農薬規制の強化が主因だとしている。

コケ類(地衣類)の専門家で、オランダ植物相調査財団(Floron)のローレンス・スパリウス氏は、窒素の影響を強調する。アンモニア皿状コケやキャップ指ゴケなどは温暖化だけでなく、オランダの高い窒素沈着濃度が不可欠な条件となっている。「これらの種は、これほど多くの窒素がなければオランダには来ていなかった」とスパリウス氏は言う。純粋に気候変動のみで北上したと断言できるコケ類は、現時点で白いルーン地衣類(witte runenkorst)の1種にとどまる

人間の介入も見逃せない。アカミミガメ(roodwangschildpad)はもともと北米原産だが、1970〜80年代にペットとして輸入され、飼い主に捨てられた個体が野外で生き延びている。フィリピンジュウジモガイは商業目的でフランスに持ち込まれた後、北海の水温上昇とともに北上し、2008年に東スヘルデ川で初めて確認され、今では漁業対象としての検討も始まっている。

オランダ社会への含意

現時点で「純粋な気候変動由来」と見なされる新来種は、繁殖鳥類6種(チェッティウグイス・コサメビタキモドキ・コサギ・ヒメセッカ・セイタカシギ・ハチクイ)、植物17種、コケ類1種にとどまる。爬虫類・哺乳類の新来種はほぼゼロで、移動能力の低さや道路・建物といった人工障壁が壁となっている。海洋では2019年の調査で東スヘルデ川とフレーフェリンゲン湖に限定された調査だけでも27種以上の南方起源種が確認されており、全国規模の調査が行われれば数字はさらに増える可能性がある。

専門家らが口をそろえるのは、「気候変動は確かに重要な要因だが、それだけで説明できる種は思ったより少ない」という点だ。窒素問題、生息地の変容、そして人間の活動が複雑に絡み合う中で、オランダの生態系は静かに、しかし確実に書き換えられている。

情報源: NRC

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