「一秒、一タップ、転送。でも映された本人には永遠に続く」――ユトレヒトの学生協会、性的画像の無断転送防止へ啓発活動
「一秒、一タップ、転送。でも映された本人には永遠に続く」――ユトレヒトの学生協会、性的画像の無断転送防止へ啓発活動
バンガリスト事件から2年、UVSVが動き出した理由
「一秒、一タップ。転送される。でも、画面に映された本人にとっては、それが永遠に終わることはない」――ユトレヒトの女性学生協会UVSVが始めた啓発キャンペーンは、このメッセージを核に据えている。性的な画像や「バンガリスト(bangalijst)」と呼ばれる性的ランキングリストが、学生間のチャットやSNSで無断転送される問題に対し、協会として正面から取り組む姿勢を打ち出した。
「バンガリスト」事件とは何だったのか
「バンガリスト」とは、女性を性的な文脈でランク付けしたリストを指す俗称だ。約2年前、ユトレヒトの学生コミュニティでこうしたリストや性的画像が広範に出回っていることが発覚し、大きな社会問題となった。被害を受けた女性たちは、自分の同意なく性的なコンテンツが拡散され、精神的に深刻なダメージを受けた。事件はオランダ全土で報道され、学生文化における性的ハラスメントや「リベンジポルノ」的行為のあり方が改めて問われることになった。
啓発活動が目指すもの
UVSVが今回の活動で特に強調するのは、「転送する側の無自覚さ」だ。スマートフォンで画像を転送する行為はほんの一瞬で完了するが、被写体となった本人が受ける精神的・社会的影響は長期にわたることを、多くの学生はリアルには想像できていないと協会は指摘する。啓発活動ではこのギャップを埋めることを主眼に置き、転送行為が単なるマナー違反ではなく、被害者の人生を左右しうる深刻な問題であることを訴えている。
なお、オランダでは同意なく性的画像を共有・転送する行為は刑事罰の対象となりうる。2020年の刑法改正により、いわゆるリベンジポルノは最大2年の禁錮刑が科される可能性があるが、法的な認知度はまだ十分とは言えない。
在蘭日本人にとっての視点
日本でも「不同意性交等罪」や性的画像の無断拡散を規制する法整備が近年進んでいるが、オランダの学生コミュニティで起きているこの問題は、どの国・文化にも共通する課題だ。特にオランダに留学中の学生や、子どもが現地の学校に通う保護者にとっては、こうした行為が犯罪につながりうることを事前に知っておくことが重要になる。UVSVの取り組みは一学生協会の活動にとどまらず、デジタル時代における同意と責任をめぐる議論を、社会全体で深めるきっかけとなりそうだ。
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