カーフ元副首相、「人間性」を軸に語った3時間——Zomergasten出演で見せた素顔と信念
国連ガザ調整官が明かす、交渉の内幕と政界を去った理由
オランダの公共放送が誇る長寿インタビュー番組「Zomergasten」の第5弾ゲストとして、シフリット・カーフ(64)が日曜夜に登場した。元副首相にして現国連ガザ人道調整官という肩書を持つ彼女が選んだ番組のテーマは、「menselijkheid(人間性)」。地政学の冷酷な現実から、自らの内面まで、すべてをその一語で貫こうとした3時間だった。
ネタニヤフとの交渉、そして縮む人道空間
カーフは番組中、ガザをめぐるベンヤミン・ネタニヤフ首相との交渉を詳細に語った。人道支援のための空間は交渉を重ねるたびに狭まっていったが、それでも彼女は対話の席に座り続けたという。「パレスチナの人々には、独立国家への権利だけでなく、尊厳ある生活への権利もある」——その信念が、戦争犯罪人との「儀礼的なやり取り」にも耐える原動力だったと述べた。
国連の現状への憂慮も率直に語られた。かつての国連事務総長ダグ・ハマーショルドのインタビュー映像を引用しながら、カーフは「国連はいま、危機の傍らで漂流している」と断じた。カナダのマーク・カーニー首相のスピーチを用いて、極右台頭と国際法の形骸化に対し「道徳的に武装して立ち向かわなければならない」とも訴えた。
政界を去った理由——「j’ai donné(私は捧げた)」
番組では、政治家としての経験、とりわけ引退の経緯にも踏み込んだ。ルッテ第4次内閣崩壊後、カーフは再出馬の道を選ばず、ガザへと向かった。その背景には、在任中に受け続けた嫌がらせ、脅迫、そして組織的なセクシズムがあったと明言した。
ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン元首相に関するドキュメンタリーを取り上げたカーフは、「彼女の目と声には、驚愕が宿っていた。家族は、政治家になることを選んだわけではない」と静かに語り、自身の経験と重ね合わせた。「少し良識があり、職業的な選択肢を持っている人間なら、『ここで何をしているのか』と考える。脅迫が容認され続ける限り、それは起き続ける」。約7年間の政治活動を振り返り、彼女はフランス語でこう締めくくった——「j’ai donné(私はすでに捧げた)」。
飛び出した新証言——国連事務総長の座を逃したオランダ
番組中、進行役のヤニーン・アブリングの鋭い問いが意外な証言を引き出した。かつて米国がカーフを国連事務総長候補として推す意向を持っていたにもかかわらず、オランダ政府が安保理議席獲得キャンペーンを優先してその機を逸し、「成り行きに任せた」というのだ。外交の舞台裏を垣間見せるこのエピソードは、番組内でも特に注目を集めた。
在蘭日本人にとって、カーフの言葉は単なるオランダ政治の話にとどまらない。「オランダはかつて同性婚を世界で初めて認めた国だった。でも今の私たちの社会を見てほしい。あの進歩的な自己像は、もう存在しない」——この問いかけは、国際社会全体の行方を考えるうえでも、十分な重みを持っている。
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情報源: NRC



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