高速道路の小さな赤い「CADO」標識が重大事故時に果たす重要な役割
見過ごしがちな標識の裏に、命を守るシステムが潜んでいる
オランダの高速道路を走っていると、路肩や防音壁に小さな赤い標識が取り付けられているのを目にすることがある。そこに記された文字は「CADO」。大半のドライバーはそのまま通り過ぎてしまうが、この目立たない標識の背後には、重大事故が発生した際に大きな価値を持つシステムが連動している。
CADOとは何か
CADOは「Crash Attenuator Data Output」、あるいは関連する道路安全システムを示す略称で、オランダ国内の主要高速道路に沿って設置されている位置情報マーカーの一種だ。事故が発生した際、救急隊員や警察がいち早く正確な現場位置を把握するための基準点として機能する。GPSや携帯電波が不安定な状況でも、「CADO〇〇」という番号を伝えるだけで、緊急通報オペレーターが地図上の正確な地点を特定できる仕組みになっている。大規模な多重衝突事故など、混乱した現場では、こうしたシンプルな基準点が救助活動の速度を大きく左右する。
なぜ知られていないのか
標識自体は非常に小さく、走行中に意識しなければまず目に入らない。オランダの道路インフラを管理するRijkswaterstaatが整備・管理しているものの、ドライバーへの積極的な周知活動はほとんど行われてこなかった。多くの人がその存在すら知らないのはそのためだ。しかし緊急時に同乗者や目撃者が「近くのCADO番号」を119(緊急番号112)のオペレーターに伝えられれば、救急隊の到着時間を数分単位で短縮できる可能性がある。数分の差が生死を分けることもある高速道路上の重大事故において、この仕組みの意義は決して小さくない。
在蘭ドライバーが知っておきたいこと
日本でも高速道路のキロポストを利用した位置通報は一般的だが、オランダのCADOシステムはそれに相当する仕組みといえる。オランダの緊急番号は112で、事故や急病の際はこの番号に電話し、近くに見えるCADO標識の番号を伝えることが推奨されている。在蘭の日本人ドライバーも、高速を走る際には路肩の小さな赤い標識に意識を向けてみてほしい。いざという時、自分や同乗者の命、あるいは他者の命を守る一助になり得る情報が、あの目立たない標識には刻まれている。
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