喫煙が再びトレンドに?インフルエンサーとアーティストが火をつける「タバコ復活」現象
SNSのテラスから音楽フェスのステージまで、煙草が「かっこいい」シンボルとして再浮上
テラスでタバコを優雅に吸うインフルエンサー、ステージ上で煙草に火をつける人気アーティスト——そんな光景が、オランダのSNSフィードに再び頻繁に現れるようになった。さらには、シガレットのパッケージそのものがミュージシャンやブランドのグッズとして販売されるケースまで登場している。数十年にわたって「時代遅れ」「不健康」というイメージが定着してきた喫煙が、なぜ今また文化的なシンボルとして復活しつつあるのか。NRCの編集者メルヴェ・オズデミルがこの現象に着目し、その背景と社会的な含意を掘り下げた。
ポップカルチャーが変えるタバコのイメージ
喫煙の「再流行」を語るうえで欠かせないのが、インフルエンサーや音楽アーティストの影響力だ。数百万人のフォロワーを持つインフルエンサーがカフェのテラスで煙草を吸う写真を投稿すれば、それはライフスタイルの一部として無数のユーザーのタイムラインに流れ込む。アルゴリズムが「映える」コンテンツを優先的に拡散する現代のSNS環境では、喫煙シーンが持つ視覚的・演出的な効果が、ある種の審美性として再評価されている側面がある。音楽フェスやライブのステージ上での喫煙は、アーティストの「反骨精神」や「クール」なイメージと結びつき、ファンの間でひとつのアイコンとして機能している。タバコのパッケージがグッズ化されるという現象は、喫煙がもはや単なる嗜好品の問題を超え、ファッションやサブカルチャーの文脈で消費されていることを象徴している。
健康への懸念と数十年の禁煙努力
こうした流れに、公衆衛生の専門家や医療関係者は警戒感を示している。オランダでは長年にわたって職場や飲食店内での喫煙規制が強化され、学校教育や広告規制を通じた禁煙啓発が続けられてきた。その結果、喫煙率は着実に低下してきた経緯がある。しかし、ポップカルチャーを通じた喫煙の「再美化」は、特に10代から20代の若い世代に対して、こうした長年の取り組みを逆行させるリスクをはらんでいる。タバコによる健康被害——肺がんや心疾患、呼吸器疾患——は何ら変わっておらず、「トレンド」として消費されようとも、その危険性が軽減されるわけではない。オズデミルはこの点を強調し、文化的な流行と健康リスクを切り離して考えることの難しさを指摘している。
在蘭日本人にとっての視点
オランダに暮らす日本人にとっても、この現象は身近な問題として映るかもしれない。日本でも近年、加熱式タバコの普及とともに喫煙の形態が変化しており、若い世代における喫煙観は複雑な様相を呈している。オランダのカフェやテラス文化に馴染んでいる在住者であれば、周囲での喫煙シーンが増えていることに気づいている人もいるだろう。EU各国で進む規制強化の流れと、SNS発の文化的潮流との間にある緊張関係は、今後の公衆衛生政策にとっても重要な論点となりそうだ。タバコが「かっこいい」とされる時代が再び到来しつつあるとすれば、その問いに社会がどう向き合うかが問われている。
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情報源: NRC



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