早産後にPTSDを発症する親が多数——オランダ初の大規模研究が示す「見えない傷」
母親の3人に1人以上、父親の6人に1人が症状を抱える現実
極早産という体験は、医療的な危機であると同時に、親にとっては深刻な心理的外傷をもたらしうる出来事でもある。アムステルダムUMC、エラスムスMC、ユトレヒトUMCが共同で実施したオランダ初の全国規模調査により、妊娠29週未満で生まれた赤ちゃんの母親の少なくとも3分の1が、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と判断されうる水準の症状を抱えていることが示された。父親も例外ではなく、約6人に1人が同様の症状を報告している。研究結果は学術誌『Pediatrics』に掲載された。
「消毒液のにおいだけで、あの日に引き戻される」
調査はオランダ国内すべての新生児ICU(NICU)の参加のもと、446例の極早産児を追跡し、217家族の親が出生直後・1か月後・元の予定日前後の3時点で精神的健康に関するアンケートに回答した。報告された症状は、フラッシュバック(過去の記憶の再体験)、回避行動、慢性的な不安や緊張など、PTSDに典型的なものだった。
14年前に妊娠27週で息子を出産したタチアナ・ファン・リールさんは、「心拍モニターの音を聞くだけで、あるいは病院の手指消毒液のにおいをかぐだけで、子どものICUにいたあの瞬間に引き戻される」と語る。息子は脳室内出血と癲癇発作を起こし、生後わずか4週間で脳手術を受けた。「10秒ごとに、この子が死んでしまうと思っていた」。彼女の第一子である娘は、腸穿孔と脳出血により早産後に亡くなっている。息子は一命をとりとめ今や健康な14歳に育ったが、「何か悪いことが起きるのではという恐怖は、最初の頃は極端なほどだった。今は薄らいだが、完全に消えることはない」と振り返る。
親の心の傷が、子どもの育ちにも影響する
アムステルダムUMCの教授でありこの研究のリーダーでもあるロッテ・ハーフェルマンス氏は、極早産のNICU入院がいかに親を追い詰めるかをこう説明する。「我が子に次々と侵襲的な処置が施されるのを、ただ見守るしかない——その無力感は計り知れない」。調査では、過去に深刻なトラウマ体験がある場合や、妊娠中・入院中に強いストレスにさらされていた場合に、PTSDリスクが高まることも明らかになった。
さらに研究チームが強調するのは、親のPTSDが子ども自身の発達にも連鎖しうるという点だ。極早産児はもともと社会・情動的発達など複数の面で困難を抱えやすい。そこに親がトラウマを抱えていると、親子間の相互作用——子どもの健全な成長に不可欠な基盤——が損なわれるリスクがある。「これまでは子どもの命を救うことが最優先であり、それは当然だ。だが子どもの長期的な幸福は親から始まる」とハーフェルマンス氏は言う。
標準ケアへの組み込みを求める提言
研究チームは今回の成果を踏まえ、早産が起きた際の産科・新生児ケアに、親への心理的支援を標準的なケアパスとして組み込むよう強く提言している。これはオランダ国内の医療制度における具体的な制度設計の問題であり、今後の政策議論に影響を与えうる。在蘭の日本人家庭においても、万が一早産という状況に直面した際には、NICUのソーシャルワーカーや心理士への相談が選択肢として存在することを知っておくことが助けになるだろう。親自身のケアを後回しにしないことが、子どもの未来にとっても重要なのだという視点は、今後の周産期医療の在り方を根本から問い直すものだ。
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情報源: NOS Algemeen



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