農民抗議でダビデの星ステッカー配布——首相「嫌悪すべき行為」と強く非難
FDFの"比較"にユダヤ人団体も反発、デモ当日に死亡事故も
8月のある金曜日、北ブラバント州の州都デン・ボスで大規模な農民抗議デモが開かれた。焦点は、自然保護区近くに位置する養鶏農家5軒の自然許可証を取り消すという州執行部の計画だ。しかしデモを一躍全国的な議論の的にしたのは、農業問題そのものよりも、抗議の場で配布されたひとつのステッカーだった。
ダビデの星を模したステッカーの波紋
農民団体「ファーマーズ・ディフェンス・フォース(FDF)」は、デモ会場でダビデの星を模したステッカーを参加者に配った。デザインは農家を象徴する赤いバンダナ柄に星形を組み合わせ、中央には「boer(農民)」の頭文字「B」が入っている。ナチス占領下でユダヤ人に着用が強制された黄色い星章を明らかに意識したものだ。
ロブ・イェッテン首相はオンロープ・ブラバントの取材に対し、この行為を「嫌悪すべき行為」と断じた。「こうした方法で主張を伝えようとするなら、自分たちの大義を傷つけるだけだ」と述べた。ユダヤ系団体のCIDI(イスラエル情報・ドキュメンテーションセンター)もこの比較を「根拠がなく非難に値する」と批判。CIDIの元代表で元中央ユダヤ人評議会会長のロニー・ナフタニエル氏は、「こうした象徴を使うことで、農家たちは自らの立場を損なっている」と指摘した。
一方、FDF代表のマルク・ファン・デン・ウーフェル氏は、ステッカーは農家への「不当な仕打ち」を強調するためのものだと説明。戦時中の1938年に許可証が取り消されたことと現在の農家の状況を重ね合わせ、「アクション団体は摩擦を起こす必要がある」と主張した。ただ、比較が人々を傷つける可能性は認めている。
許可証問題の実態と州議会の審議
抗議の直接の引き金となったのは、ノールトブラバント州が自然保護区近隣の養鶏農家5軒に対して自然許可証を取り消そうとしている計画だ。農家側は、許可証が失われれば廃業を余儀なくされると訴えている。
州執行部の担当議員サスキア・ブーレマ氏への不信任動議は否決され、州は暫定的に計画を維持する方針を示した。審議の中でブーレマ氏は、5軒の農家からの計画案に対して8カ月間も返答を待たせてきたことを認めた。ただし放送局NOSが入手したメールによれば、農家への連絡が実際に行われたのは、州議会での討論のわずか2日前だったという。
唯一可決された動議は、「できる限り早く農家と面談し、飼育頭数の削減や移転といった代替案を検討するよう」執行部に求めるものだった。正式な決定は10月1日に下される予定で、農家側にとって当面の山場となる。
死亡事故が重なった一日
この日はさらに痛ましい出来事も起きた。デモに向かう農家のトラクターが高速道路A59に長い渋滞を引き起こし、その列の最後尾で発生した衝突事故により2人が死亡した。農業問題をめぐる緊張が続くオランダで、この日は社会の複数の断面が重なり合う一日となった。
許可証取り消しの問題は、窒素排出規制をめぐって長年くすぶるオランダ農業政策の矛盾を映し出している。10月の正式決定に向け、州と農家の協議がどう進むかが注目される。
広告掲載にご興味のある方は こちら
情報源: DutchNews



/https://content.production.cdn.art19.com/images/de/fb/b2/ff/defbb2ff-96b9-4928-89f1-503260a977ac/6b1c9cd90165d2591c177611e81dc250999ae83b225b5821830005fd5a0176337d30ccc8839e4087f0e87faa6526da6afe150833f359d2c294c118054a204f64.jpeg)