血圧薬「グアナベンズ」が小児の希少脳疾患の進行を抑制する可能性
アムステルダムUMCの研究が示す、バニシング・ホワイト・マター治療の新たな一歩
子どもたちを蝕む希少な脳疾患に、思わぬところから光明が差し込んだ。アムステルダムUMCのエマ小児病院が実施した研究によって、血圧を下げる薬として知られる「グアナベンズ」が、小児の希少脳疾患「バニシング・ホワイト・マター(白質消失症)」の進行を遅らせる、あるいは完全に止める可能性があることが明らかになった。
これまで「打つ手なし」だった遺伝性疾患
バニシング・ホワイト・マターは、脳の白質が徐々に消失していく遺伝性の神経疾患だ。主に幼少期に発症し、運動機能や認知機能の低下を引き起こす。患者数が極めて少ない希少疾患であるがゆえに研究も限られており、これまで病状の進行そのものに影響を与えられる治療法は存在しなかった。症状を和らげる対症療法にとどまるしかなく、患者家族にとっては長年、診断後に有効な手を打てないという厳しい現実があった。
既存薬が新たな可能性を開く
今回注目されたのが、高血圧治療薬として既に使われてきた「グアナベンズ」だ。エマ小児病院の研究チームは、この薬が細胞のストレス応答を調整する機能を持つことに着目。バニシング・ホワイト・マターの病態に関わる細胞レベルのメカニズムへの作用を検討した結果、疾患の進行を遅延・停止させる効果が確認された。既存薬の新たな応用、いわゆる「ドラッグ・リポジショニング」の手法による成果であり、まったく新薬を開発するよりも臨床応用までのプロセスが短縮できる点でも意義深い。
希少疾患研究における「一筋の光」
この研究成果は、オランダ国内にとどまらず、世界中のバニシング・ホワイト・マター患者とその家族に希望をもたらすものだ。もっとも、今後は実際の患者を対象とした臨床試験による有効性・安全性の検証が必要であり、標準的な治療法として確立されるまでにはさらなるステップが求められる。それでも、有効な治療法がゼロだった状態から、具体的な候補薬が見つかったことの意味は大きい。アムステルダムUMCの今回の発見は、希少疾患研究における粘り強い取り組みが、患者の未来を変え得ることを示す一例となった。在蘭日本人の中にも、子どもの神経系疾患に関心を持つ方や医療関係者は少なくない。今後の臨床研究の進展を注視していきたい。
広告掲載にご興味のある方は こちら
情報源: NU.nl



/https://content.production.cdn.art19.com/images/de/fb/b2/ff/defbb2ff-96b9-4928-89f1-503260a977ac/6b1c9cd90165d2591c177611e81dc250999ae83b225b5821830005fd5a0176337d30ccc8839e4087f0e87faa6526da6afe150833f359d2c294c118054a204f64.jpeg)